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業務用大型ロボと家庭用小型ロボがオフィスビルで協働、日建設計がRMFを適用ロボット開発ニュース(2/3 ページ)

日建設計とビルポは、中型清掃ロボットと家庭用小型ロボット、大型配送ロボットなど、複数ロボットを協調運用する実証実験を行った。異なる種類かつ複数のロボットを横断的に統合管理する「RMF」を導入した成果だ。

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複数種のロボットを統合制御するRMF

 今回活用されたRMFとは、複数メーカー/複数種類のサービスロボットを共通基盤上で統合管理するためのオープンソースの運行管理フレームワークである。RMFを使うことで多数のロボットが安全かつ効率的に作業を遂行できる。また、小型の家庭用ロボットも導入することで全体のコストパフォーマンスを最適化することも狙う。

異なる種類かつ複数のロボットを横断的に統合管理する「RMF」
異なる種類かつ複数のロボットを横断的に統合管理する「RMF」[クリックで拡大] 出所:日建設計
Panasonic Asia Pacificのグエン・ジェイヒン氏
Panasonic Asia Pacificのグエン・ジェイヒン氏

 RMFは、ROS 2をベースにシンガポールが病院でのロボット導入に向けて開発した「Romi-H(Robotic Middleware for Healthcare)」を起源としている。RMFについて詳しいPanasonic Asia Pacific Manufacturing Innovation Centre Robotics Development Project Managerのグエン・ジェイヒン氏は、まずシンガポールの看護師不足について説明した。看護師は多様な業務をこなしており、その代替も多様なロボットが必要となる。インフラとの連携、ロボット同士の連携なども必須だが、1機種ずつ連携させるのは非常に効率が悪い。そこでシンガポール政府主体で集中管理システムを作ろうということで始まったのがRMFの開発だった。運行管理ツールではあるが「管理ではなく制御する、例えば各ロボットにベストなルートを伝えることで集中制御することがRMFの本質だ」とグエン氏は語る。

 実際にロボットをオフィスで動かすとさまざまなトラブルが発生すると光田氏は紹介した。RMFを導入せずに動かすと、センサー同士の干渉やロボット同士の衝突も発生したという。RMFを使うことでスムーズなエレベーター乗降、狭い通路での立ち往生やロボット同士の衝突の回避などが可能になる。

ロボット導入時のトラブルのイメージ
ロボット導入時のトラブルのイメージ[クリックで拡大] 出所:日建設計
ビルポの赤津冬馬氏
ビルポの赤津冬馬氏

 今回の実証実験で使用されたロボットは3種類。パナソニックグループの病院内配送ロボット「HOSPI」、中国のGausiumの中型清掃ロボット「Phantas」、中国のDreameの小型清掃ロボット「D10s Pro」だ。中型清掃ロボットと小型清掃ロボットを併用することで、広いエリアや椅子の下などのエリア/役割分担ができ、人間は立面清掃に集中できるようになる。RMFのようなシステムを使うことで、厳密にエリアを分けるのではなくいったん片方を停止するといった柔軟な運用も可能だ。ビルポ スマートメンテナンス設計部 部長の赤津冬馬氏は「これにより、全体の品質向上と作業時間短縮が可能になる」と語る。

実証実験で使用された3種類のロボット
実証実験で使用された3種類のロボット。写真内右側にある大型のロボットがパナソニックグループの病院内配送ロボット「HOSPI」、左側にあるのがGausiumの中型清掃ロボット「Phantas」、3台の小さなロボットがDreameの小型清掃ロボット「D10s Pro」だ[クリックで拡大]

RMFの機能

 RMFは、衝突防止やすれ違い制御、エレベーターや自動ドアとの連携、同一目的地への移動時の調整、非常時の退避制御といった機能を持つ。RMFを導入することで、例えば火災警報器が鳴ったときに人の邪魔にならないところに退避したり、病院での「コードブルー(病院内の緊急コール)」に対応して通路を開けたりといった制御も可能になる。日建設計では、今後ロボットが大量に導入される時代ではこれらは間違いなく必要になると考えているという。また、導入前の3Dシミュレーションや管理用ダッシュボードの機能も備えている。

RMFの機能
RMFの機能。ロボット同士の衝突回避の他、導入前の3Dシミュレーションや管理用ダッシュボードなども備える[クリックで拡大] 出所:日建設計

 RMFはこれまで中型ロボットの管理に用いられていた。小型ロボットには機能の制限があり、直接RMFとはつながらないため、その位置管理にはスマートホーム向けオープンソースプラットフォーム「Home Assistant」とRMFとつなぐアダプター機能を新規に開発して、位置情報をRMFに出すようにして運用した。

RMFのインタフェース画面
RMFのインタフェース画面。各ロボットの位置情報も表示される[クリックで拡大]

 実証実験における関係各社の役割分担は以下の通りだ。日建設計は、企画とロボットフレンドリー計画の策定、全体調整、実証フィールドの提供を行った。ビルポは、ロボットの選定/調達やシステム開発のマネジメントなど実証のサポートを担った。Panasonic Asia PacificはRMFを用いたフリートマネジメントの開発と実装、Solid Surfaceはビルポの下でHome Assistantに関する開発や連携するロボット用のRMFアダプターの開発などを担当した。

今回の実証実験における統合管理システムの構成
今回の実証実験における統合管理システムの構成。オープンソースを活用しつつ、独自にアダプターなどを開発して全体をまとめた[クリックで拡大] 出所:日建設計

 開発は2025年の春から夏にかけて行われた。今回のシステムはオープンソースで開発されていることもあり、システム自体の外販は予定していないが、日建設計は今後、クライアントへのサービス提案を進めていく。RMFを使うことで、家庭用の小型ロボットなど機能が制限されている機種も含めて「適材適所でロボットを使えるところに大きなメリットがある」という。

小型ロボットと搬送ロボットのすれ違い
小型ロボットと搬送ロボットのすれ違い[クリックで拡大]

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