Rescaleの次なる一手は「Data Intelligence」――CEOが語るR&D変革のビジョン:Rescale's Vision for the Future レポート(3/3 ページ)
Rescale Japanは、技術セミナー「Rescale's Vision for the Future」を開催。米Rescale CEOのヨリス・ポート氏が「Rescaleの最新情報と今後のビジョン」をテーマに基調講演を行い、データとAIを軸とした今後のR&Dの在り方について言及した。
ユーザーおよびパートナーによる講演も
その他、同イベントではユーザーおよびパートナーによるゲスト講演も行われた。ここでは、それらの内容をダイジェストで紹介する。
ダイキン工業
ダイキン工業 Digital Engineering Group/Technology Innovation Centerの高根沢悟氏は、「ダイキンにおけるCAEデータ活用と今後のビジョン」と題して講演した。
講演では、「計算を武器にダイキン工業を勝たせる」というミッションの下、グローバルに分散した設計拠点の集合知をいかに生かすかについて説明した。その中核となるのが、標準化したシミュレーションツールをグローバルに提供する「グローバルサブスク型ツール」と、中央拠点が高度な計算案件を担う「受託サービス」である。狙いは、単なるツール展開にとどまらず、設計やシミュレーションを“レポートを書く”という形で自動的に記録/蓄積し、設計の意図や判断を含めた知見として共有/再利用する点にある。
将来的には、蓄積されたレポートの要約化やDOEの自動生成、シミュレーションの自動実行と設計提案までを視野に入れており、各拠点で行われているアレンジ設計のスピード向上を図る考えである。さらに、実験データと数値実験データを組み合わせたデータ基盤の整備や、物理ベースAIの活用にも言及し、Rescaleとの連携を通じて、CAEデータ活用を事業競争力へとつなげていく構想を示した。
NVIDIA
エヌビディア エンタープライズ事業本部 事業本部長の井崎武士氏は、「NVIDIAの最前線とRescaleとの協業について」と題して講演した。井崎氏は、NVIDIAがGPUを中心としたハードウェア企業にとどまらず、CPUやネットワーク、ソフトウェアスタック全体を提供している点を紹介し、HPCとAI、ビジュアライゼーションの融合によってAI Physicsが確立されつつあると説明した。
講演では特に、AI Physicsを産業用途で実装する上でのRescaleとの協業を強調した。NVIDIAは「Warp」やDoMINOといったAI Physics関連技術やモデルを提供し、RescaleはそれらをCAEワークフローとして統合/運用するプラットフォームを担う。DoMINOを含むAI Physics向けオープンモデル群「Apollo」は、2026年にRescaleのプラットフォームへ搭載される予定であり、高精度なシミュレーションを迅速に提供できるようになるという。井崎氏は、RescaleをCAEデータと計算基盤を束ねる中核的なパートナーと位置付け、両社の連携によってAI Physicsの実用化と普及を加速していく考えを示した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
技術とデザインで従来課題を克服したキヤノンの全身用マルチポジションCT
キヤノンが開催したデザインオンラインセミナー「Meet-up Canon Design 2025」の中から、「検査の未来を描く『全身用マルチポジションCT』のデザイン」の講演内容を取り上げる。
AIとの対話によって設計業務が行える「SOLIDWORKS」の未来を提示
ダッソー・システムズの年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2025」の基調講演に登壇したDassault Systemes Mainstream Innovation & CRE担当 シニア・バイスプレジデントのジャン・パオロ・バッシ氏と、同社 SOLIDWORKS CEO 兼 R&D担当 バイスプレジデントのマニッシュ・クマー氏の講演内容を紹介する。
「AU 2025」で何が語られた? オートデスク日本法人が解説
オートデスクは、米国テネシー州ナッシュビルで開催された年次イベント「Autodesk University 2025(AU 2025)」の発表内容を、日本のメディア向けに紹介する記者説明会を実施した。本稿では、基調講演、AIキーノート、製造領域の発表内容を中心に、AU 2025の主要トピックスを整理した。
おもちゃ化から始めるモノづくり――ICOMAの独自メソッドで生まれた「tatamo!」
折り畳み式電動バイク「TATAMEL BIKE」のICOMAが「ITmedia Virtual EXPO 2025夏」で講演。金型レス設計や余白を生かしたデザインのメリット、次世代コンセプトモデルの「tatamo!」にも用いられた独自メソッド「TOYBOX」の特長などを紹介した。
HPが描く次世代AIワークステーション 「Z Boost」と「ZGX Nano」による革新の姿
日本HPは「HP Future of Work AI Conference 2025」を開催した。本稿では、「次世代AIワークステーション(Zシリーズ) 〜ZGX NanoとZ Boostによるイノベーション〜」をテーマに登壇した、HPのマイケル・メシエイ氏の講演内容を紹介する。
40年変わらなかったCADが進化 「ニューラルCAD」が示すAI時代の設計の姿とは
Autodeskは年次イベント「AU 2025」を開催した。本稿では、新たに発表された「ニューラルCAD基盤モデル」の詳細について触れた、Autodesk Research 上級副社長のマイク・ヘイリー氏の講演内容をお届けする。

