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自動化機器/ロボットシステムの導入や運用時の注意点〜ロボットSIerをどう選ぶか中堅中小製造業の自動化 虎の巻(4)(2/3 ページ)

本連載では、自動化に初めて取り組む中堅中小企業の製造現場向けに協働ロボット、外観検査機器、無人搬送機にフォーカスして、自動化を成功させるための導入前(準備)、導入時(立ち上げ)、導入後(運用)におけるポイントを解説する。今回は、自動化機器/ロボットシステムの立ち上げ時やその後の運用の際に注意すべき点などについて記述する。

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ロボットSIerの選び方

 使い勝手や価格面、安全面など総合的に判断して、導入する協働ロボットや無人搬送機も決まった。しかし、当たり前だが、ロボット本体を導入しただけでは何も稼働しない。そこで、現場に対応したシステムを設計(構築)することになる。

 システム設計をメーカーやユーザー自身が行うこともあるが、カメラやセンサーなどの周辺関連機器との連携や複雑な動作などが必要な場合は、専門のシステムインテグレーター(SIer)が現場で対応することになる。

 本稿では専門のシステムインテグレーターを「ロボットSIer」と呼ぶことにする。機器導入後のトラブルの大半は、システム絡みということもあり、ロボットSIerの良しあしが自動化機器導入の成否に大きく関わってくる。

 実際、現場でのロボットSIerの対応が悪く、他にもっといいロボットSIerがあれば紹介してほしいという相談や要望はどの現場からも聞こえてくる。ユーザー担当者は、なにか不具合が生じたらすぐ飛んできて、短時間で問題を解決してくれるロボットSIerを望んでいる。面倒見がよく、親身になって、しかも無料で対応してくれて、といったかなり都合のいい考えを持つユーザー企業はまだまだ多い。

 ロボットSIerからすれば、お金も出さない(ケチ)のに時間と労力ばかり取られ、いつまでも手離れの悪いクライアントだという思いだろう。そうなってしまったら、お互い不幸だ。

 では、どうすれば良いロボットSIerと出会うことができるのか。結論から言えば、これはなかなか難しい。

 国内には1000社以上のSIer企業があるといわれ、「日本ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会)」への参加企業だけでも300社以上ある。その中から自社にとって最適なロボットSIerを見つけ出すことは容易ではない。

 こうしたユーザーとロボットSIerの不幸な関係をなくそうと、経済産業省と日本ロボット工業会が中心になり、ロボットSIer、ユーザー双方が納得した上でシステム設計を行う「ロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer)のスキル標準・プロセス標準」を策定(2017年6月)した。この中では、ロボットSIerとしてどの分野の能力に秀いでているのか、もしくは不足しているのかを「見える化」している。

 顧客との確実な合意形成を実現させ、ロボットシステム構築プロセスの最適化を目指しているが、あまり機能していないようだ。

図2 ロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer)スキル標準・プロセス標準
図2 ロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer)スキル標準・プロセス標準[クリックで拡大]

 ユーザーとの相性(企業文化、地域特性など)もあるため、スキルだけでは判断できないこともあり、ユーザー企業にとってどのロボットSIerが最適かは一概には言えないが、参考までに選ぶポイントを挙げる。

ロボットSIerを選ぶポイント(一例)

  • 機械(ロボット)の取り扱いに慣れている ⇒ 実績がIT中心ではないロボットSIerを選ぶ
  • 導入した機器メーカーからの紹介
  • 信頼のおける企業経営者や現場責任者からの紹介 ⇒ 既にロボットを導入し、稼働させている場合はとても有益となる
  • 多くの実績がある ⇒ スタートアップは実績作りを急ぐあまり、初期費用を無料にするなど導入時に無理な価格設定をする場合もあり、注意が必要
  • 地場の企業 ⇒ 遠い地域に拠点があるロボットSIerだと、メンテナンスなど迅速に対応できない可能性がある
  • ロボットSIer担当者と相性がよさそう ⇒ 主観的だが、案外当たっている場合も多い

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