世界2.4億台のコネクテッドカーを支えるライセンス仲介ビジネスの仕組みとは:コックピット/車載情報機器(1/2 ページ)
Avanci(アバンシ)は、世界2億4000万台以上のコネクテッドカー向けに展開している先端通信技術のライセンスプログラムの仕組みや導入実績などについてに説明した。
Avanci(アバンシ)は2025年11月18日、東京都内でメディア向けの勉強会を開催し、同社が展開するライセンスプログラムに関する最新の取り組みを紹介した。
中立性を保ちライセンス契約をシンプルにするアバンシの取り組み
近年、自動運転技術やコネクテッドカーの普及に伴い、安全性や信頼性、リアルタイム性を支える先端通信技術の重要性が増している。そんな中、アバンシはコネクテッドカー向けのライセンスプログラムを提供することで、技術を開発する「ライセンサー」とそれを使用する「ライセンシー」の連携を促進し、モビリティ分野における新たなイノベーション創出に注力している。
米国に本社を置くアバンシは、2025年で創立10周年を迎える。同社は、独立したグローバルプロバイダーとして、特許権のある必須技術のライセンスを公正な形で提供することを重視している。アバンシ 創業者兼CEOのカシム・アルファラヒ氏は「われわれはいかなるライセンサーやライセンシーの傘下に属していない。中立性/独立性を保つことで長期的に継続する仕組みを構築できると考えている」と語る。
アバンシが展開するライセンスプログラムは、先端通信技術の特許所有者とその特許を利用したいと考える自動車メーカーがとり得る選択肢の一つとなる。同プログラムの利用者はアバンシの仲介によってライセンスの供与を受けることが可能であり、多くの企業が保有する知的財産権について、特許所有者と利用者の歩み寄りを促進する役割を担っている。「われわれは、技術を開発するライセンサーとそれを使用するライセンシーの間に入り、ライセンス契約をシンプルにしている」(アルファラヒ氏)。
現在は、グローバルにサービスを展開しており、日本や中国、韓国、欧州に拠点を置いている。また、アバンシは先端通信技術の発明者が納得できる市場価値の確立を目指している。ライセンス料金に関しても明確に提示し、利用者側の企業にとって今後の事業計画を立てる上でのコストを把握しやすい。アルファラヒ氏は「全ての企業が同等の金額を支払う形態にしており、どこかの企業が有利な条件で取引できるという状況を作らないようにしている」と述べる。
ライセンサー数は80社、約130社の自動車ブランドにライセンスを供与
コロナ禍以降、アバンシの認証を受けるライセンサーの数とそれを利用する企業の数が増えているという。アバンシ ビークル事業 プレジデントのローリー・フィッツジェラルド氏は「現在はライセンサー数が80社になり、約130社の自動車ブランドにわれわれがライセンスを供与している。2億4000万台以上のコネクテッドカーがわれわれの対象であり、これらの成長をけん引する日本市場は重要である」と強調する。
アバンシが提供する自動車向けプラットフォーム「Avanci Vehicleプログラム」に参加することで、自動車メーカーは2G〜5Gまでの移動体通信の標準必須特許(SEP)の9割にアクセスできる。これにより、世界のさまざまな場所で自動車を生産する際に、標準必須特許を活用できる。
また、ライセンサーが同社のプログラムに参加することで、発明した先端通信技術に対して適切な対価を受け取ることができる。「ライセンサーがロイヤルティーを受け取る仕組みがあることで、継続的な技術開発の資金になり、さらなるイノベーションの創出につなげられる」(フィッツジェラルド氏)。
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