モビリティDX戦略がアップデートした理由、SDV開発競争激化と米国規制対応に照準:SDVフロントライン(3/3 ページ)
100年に一度の変革期にさらされている日本の自動車業界が厳しい競争を勝ち抜くための原動力になると見られているのがSDVだ。本連載では、自動車産業においてSDVを推進するキーパーソンのインタビューを掲載していく。第4回は、アップデートを果たした「モビリティDX戦略」の狙いについて経済産業省の斎藤翔太氏に聞いた。
E2Eモデルの登場で一般道における自動運転実現の可能性が広がる
MONOist 足元では自動運転のE2Eモデルの開発が米国と中国で急速に進展しています。モビリティDX戦略ではどのように対応していきますか。
斎藤氏 これまでの自動運転技術は基本的にルールベースで開発が進められてきた。これまで、高速道路など限られたエリアでの自動運転については一定の成果を得ているが、一般道での走行には課題も多く残っている。しかし、生成AIの活用により認識から制御までを単一のAIモデルで処理できるE2Eモデルの登場により、一般道での自動運転の実現に関する可能性が広がっている。米国と中国の取り組みが先行しているものの、日本国内でもスタートアップを中心に開発を進めているところだ。
なお、国内での自動運転レベル4対応は、実装が進む海外と比較して、交通環境が狭くて複雑であることが難易度を上げている印象がある。海外で実績を出している企業も日本国内で取り組みを始めているが、日本の交通環境にアジャストするのに苦労しているという話も聞いている。
MONOist 地政学リスクの高まりについてはどのように見ていますか。
斎藤氏 米国のコネクテッドカー最終規則による影響はかなり大きくなる可能性もあるのではないかと見ている。同規則では、中国やロシアと関連する自動車通信システムと関連するハードウェア、ソフトウェア、自動運転モデルと、それらを搭載する車両を対象に米国への輸入と販売が禁止される。米国ではこの他にも、半導体や重要部品と関わる追加関税や規制などが検討されている。
これらはSDVを構成するサプライチェーンの重要な要素であり、適切に対応していく必要がある。現在は自動車業界と議論しているところで、出口戦略はこれから策定していくことになるだろう。
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