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25周年でもまだ“1合目”、大企業向けに活路見いだすMonotaROの次の一手製造マネジメント インタビュー(1/2 ページ)

25周年を迎えたMonotaROの現在地と今後の展開について、同社 代表執行役社長の田村咲耶氏に話を聞いた。

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 間接資材を中心としたインターネット通販サイト「MonotaRO.com」を運営するMonotaROは2025年に創業25周年を迎えた。「資材調達ネットワークを変革する」を企業理念として掲げ、継続的に成長を続けるMonotaROの現在地と今後の展開について、同社 代表執行役社長の田村咲耶氏に話を聞いた。

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MonotaRO 代表執行役社長の田村咲耶氏 出所:MonotaRO

成長続けるMonotaROだが「目指すべきところに対しては1合目」

 MonotaROは2000年に住友商事と米国グレンジャー社の出資により設立。2001年にB2B向け間接資材調達サイト「MonotaRO.com」の全国展開を開始した。その後、プライベートブランド「モノタロウ」の展開など、サービス拡張とともに、物流センターなどのインフラを拡充させながら、成長を続けてきた。2024年12月期にはユーザー数が1000万を突破し、取り扱い商品点数は2475万点以上となっている。これらを背景に、売上高は2881億1900万円、営業利益は370億6600万円、純利益は245億6500万円となるなど、順調な成長を見せる。

 しかし、2024年1月に就任した3代目社長となる田村氏は、25周年の手応えについて「土台はできたが、理想像には至っていない」との考えを示す。

 MonotaROでは「資材調達ネットワークを変革する」を企業理念として掲げ、顧客に提供する価値を「時間価値の提供」と位置付けているが、「目指すところに対し、登山でいえばまだ1合目くらいだと考えている。価値の提供ということももちろんだが、占有率などで見ても、間接資材の市場規模が8〜10兆円といわれる中、MonotaROの売上高は3000億円弱で、シェアは3%弱だ。目指すべきシェアが30%だとしてもその10分の1程度で、まだまだ端緒についたばかりだと捉えている」と田村氏は述べる。

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MonotaROの売上高と営業利益の推移[クリックで拡大] 出所:MonotaRO

大企業向けソリューションで成長を目指す

 現在のMonotaROは、間接材が1個から明朗価格で購入できて早く届くことから、主に中小企業から支持を受けている。ただ実は、創業時に目指していたのは、大企業を対象とし、非効率な購買を変革することをミッションとしていたという。田村氏は「創業当時は品ぞろえや在庫能力なども不足していたことから、大企業への対応が難しい部分もあり、中小企業向けにシフトして今の形がある」と説明する。

 しかし、物流投資や品ぞろえ拡大、データ活用で事業をここまで成長させてきたことで、ようやく大企業領域に本格的に取り組む体制ができ、現在はこれらを成長させることに力を注いでいる。

 大企業向けとして、MonotaROでは主に「パンチアウト連携」と「購買システム(ONE SOURCE Lite)」の2つを展開している。「パンチアウト連携」は、顧客の購買システムとMonotaROをカタログ連携(パンチアウト連携)する活用方法で、顧客側の購買システムから自動的にMonotaROの商品を注文できるようにするものだ。「購買システム」は、顧客の購買システムの一部を代替し、MonotaRO側に顧客専用の購買サイトを立て、顧客企業内の利用者が使う形を作る。

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MonotaROが提供する大企業向けソリューション[クリックで拡大] 出所:MonotaRO

 ただ、これらのシステムを用意するだけでは、大企業向けで浸透させることは難しい。大企業の間接資材購買は、全国に多くの拠点があり、購買DX(デジタルトランスフォーメーション)にも浸透度に差があるため、同じ形で購買変革を進めることができない。ルールや手順も確立しているため、購買方法を変えるのは容易ではない。そこで、現在は営業力強化に力を入れている。

 田村氏は「大企業では、一部で採用されていても、浸透率が1割もいかないケースも少なくない。浸透率を高めるためにはよりワークフローの中心に組み込まれるようにしなければならない。営業にも一部コンサルテーションに近いような『行動変容を促す営業』が求められている。組織のステークホルダーやプロセスを理解し、導入から浸透までを伴走する姿勢が重要だ」と強調する。

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