CTCとボッシュSDS、クラウドERP活用で製造DXやGX支援を推進:製造ITニュース
伊藤忠テクノソリューションズは、ボッシュソフトウェアデジタルソリューションズと、クラウドERPを活用した製造業のDX、GX支援で協業を開始する。製造業における技術継承や老朽化した基幹システムへの対応を狙う。
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は2025年10月14日、ボッシュソフトウェアデジタルソリューションズ(ボッシュSDS)と、クラウドERPを活用した製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)支援で協業を開始すると発表した。
協業は、日本の製造業における技術継承や老朽化した基幹システムへの対応を狙う。統一された業務プロセスの導入と部門間の情報連携を促し、経営基盤の近代化を進める。クラウドERPは標準仕様を用い、API連携で外部システムと接続する。これにより、企業全体の業務最適化と、変化に強い運用を可能にする。
ボッシュSDSのSAP S/4HANA Cloud Public Edition向けテンプレートと、CTCの導入支援テンプレート「Figues Starter」を組み合わせ、日本の法制度や会計基準、商習慣、帳票形式に柔軟に対応する。CTCがテンプレート適用からAPI連携、開発、運用までを一貫して担う。
標準化された業務プロセスを維持しつつ、特殊要件やAI(人工知能)によるデータ分析にも対応する。拡張性と保守性を両立し、現場と経営のデータ接続を強化する。
両社は、設備稼働監視による予防保守、サプライチェーンのエネルギー使用量の可視化、工場のグリーン化支援など、製造現場のDX、GXソリューションも最適化して提供する。
CTCは2023年にクラウドERPサービス「GROW with SAP」の戦略的パートナーとなり、SAP ERPの標準導入とSAP Business Technology Platformを活用した最適化ソリューション「Figues」を展開している。業務プロセス改善の内製化を含め、伴走型で導入と運用を支援する。
今後、両社は技術と知見を融合し、国内製造業の競争力強化と持続可能な成長につなげる取り組みを進めていくとしている。
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