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レバーを握ると接着剤がにゅ〜っと出てくる「グルーガン」の仕組み100円均一でモノの仕組みを考える(14)(1/2 ページ)

本連載「100円均一でモノの仕組みを考える」では、実際に100円均一ショップで販売されている商品を分解/観察して、その仕組みや構造を理解しながら、製品開発の過程を考察していきます。連載第14回のお題は、DIYや簡易補修などで活躍する工具「グルーガン」です。

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こんな人にオススメの記事です!

100円均一でモノの仕組みを考える
  • モノの仕組みや構造、分解に興味がある方
  • 設計スキルの向上を図りたい方
  • 自社製品の差別化/競争力アップを目指したい方

 本連載は、実際に100円均一ショップで販売されている商品を分解/観察し、その仕組みや構造を理解して、製品開発の過程を知ることを目的としています。前回は、携帯型冷却グッズとしておなじみの「ハンディーファン」の仕組みを取り上げました。

テーマ14:グルーガン

 連載第14回となる今回は、DIYや模型製作、インテリア装飾、工業製品の簡易補修、パッケージングなど、幅広い分野で利用されている手軽な工具「グルーガン」を取り上げます(図1)。

今回のお題「グルーガン」のイメージ
図1 今回のお題「グルーガン」のイメージ[クリックで拡大] 出所:iStock/Denis_Dryashkin

 グルーガンは、“熱で溶かした接着剤を押し出す”という非常にシンプルな構造を持つ工具です。しかし、その内部を分解してみると、熱制御や機械設計のノウハウがしっかりと詰め込まれていることが分かります。

今回筆者が100円均一ショップで入手した「グルーガン」
今回筆者が100円均一ショップで入手した「グルーガン」[クリックで拡大]

グルーガンの部品構成

 まずは、グルーガンの部品構成を見ていきましょう。今回筆者が入手した製品は、主に以下のような部品で構成されていました(図3)。

「グルーガン」の部品構成
図3 「グルーガン」の部品構成[クリックで拡大]

本体カバー

 内部パーツを保持し、断熱と安全性を確保するための筐体です。持ち手となるグリップ部分も一体構造になっています。

ヒーター(熱源)

 スティック状の接着剤(以下、スティック)を溶かす部分です。今回筆者が入手した製品にはON/OFFスイッチがなく、コンセントにプラグを挿し込むと自動的にヒーターが加熱されます。

ノズル

 溶けた接着剤を押し出す出口です。ノズルの径や材質によって塗布特性が変化します。また、ノズルを傷つけてしまうと、安定した塗布ができなくなる場合があります。

投入部/ホルダー

 スティックの挿入口と内部にある固定部です。押し出し機構と連動して動作します。

押し出し機構

 スティックを前方に押し出すための仕組みです。レバー、リンクバー、接着剤押さえ、接着剤ガイド、スプリングで構成されています。レバーを握ることで、スティックをヒーター方向へ押し出します。

電源部

 電源供給には、コンセント、USB、バッテリーなど複数の方式がありますが、今回の製品はコンセントタイプとなっています。

グルーガンの特長

 グルーガンは、「ホットメルト接着剤」と呼ばれる固形スティックを熱で溶かして使用する工具です。最大の特長は、「溶けたホットメルト接着剤が短時間で固まり、すぐに接着できる」という点です。乾燥を待つ必要がないため、工作や補修作業の効率を高めてくれます。

 用途としては、DIYや模型製作、配線固定、家具の補修、段ボール梱包(こんぽう)など、家庭から工業用途まで幅広く用いられています。

 設計の観点から見ると、温度制御や材料の相性など、見た目以上に高度な設計要素が求められる工具でもあります。以降、筆者が入手したグルーガンを題材に、その仕組を詳しく解説していきます。

グルーガンの動作

 グルーガンの動作は、大きく分けて以下の3工程で構成されています。

  1. スティックのセット
  2. 押し出す
  3. 溶かす

 それぞれの工程には、設計上の工夫や要素技術が詰まっています。それでは、順に見ていきましょう。

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