ブンブンと羽根を回し涼しい風を送る「ハンディーファン」の仕組み:100円均一でモノの仕組みを考える(13)(1/3 ページ)
本連載「100円均一でモノの仕組みを考える」では、実際に100円均一ショップで販売されている商品を分解/観察して、その仕組みや構造を理解しながら、製品開発の過程を考察していきます。連載第13回のお題は、携帯型冷却グッズとしておなじみの「ハンディーファン」です。
本連載は、実際に100円均一ショップで販売されている商品を分解/観察し、その仕組みや構造を理解して、製品開発の過程を知ることを目的としています。前回は、文房具の定番商品の1つ「テープディスペンサー(テープカッター)」の仕組みを取り上げました。
テーマ13:ハンディーファン
連載第13回となる今回は、携帯型冷却グッズである「ハンディーファン」を取り上げます(図1)。
猛暑が続く近年、屋外や現場作業ではハンディーファンが欠かせません。実際に街を歩いていると、使用している人をよく見掛けます。100円均一ショップにも、シンプルな手動式から充電式まで、多様なラインアップがそろっています。
今回は、レバーを握るとファンが回転する手動式のタイプと、充電式で卓上兼用タイプという、仕組みの異なる2つの製品を分解し、部品構成や動作原理を比較してみました(図2)。
なお、充電式の方は100円均一ショップで購入したものではあるものの、実際には100円ではありませんでした。それでも、わずかなコストで製品として成立させるための設計上の工夫や、安全性への配慮など、製品開発のヒントが詰まっています。
手動式ハンディーファンの部品構成
まずは、手動式の部品構成を見ていきます。手動式は、樹脂製の外装と少数の機械部品で構成された、非常にシンプルな作りとなっています(図3)。
外装カバー
本体の骨格となる部分で、樹脂製です。このカバーに羽根やレバーなどの内部部品が挟まれる形で組み立てられています。筆者が購入した製品では、カバーは羽根部とレバーが収まるグリップ部に分かれています。
羽根
5枚の羽根が一体となった構造です。羽根が回転すると、空気を押し出します。羽根の角度とピッチは、風量や静音性を左右します。羽根の裏側には金属製のシャフトが取り付けられており、ギアユニットと連動しています。
レバー
握力を機構へ伝える入力部です。レバーを握ることで、ギアユニットに力が伝わり、羽根を回転させます。
ギアユニット
レバーの往復動作を回転運動に変換する構造と、回転数を高めるための増速機構で構成されたユニットです。少ない力で羽根を高速回転させられるよう、適切なギア比が設定されています。
ストラップ
製品を手首や首にかけて携帯するためのひもです。
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