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ブンブンと羽根を回し涼しい風を送る「ハンディーファン」の仕組み100円均一でモノの仕組みを考える(13)(2/3 ページ)

本連載「100円均一でモノの仕組みを考える」では、実際に100円均一ショップで販売されている商品を分解/観察して、その仕組みや構造を理解しながら、製品開発の過程を考察していきます。連載第13回のお題は、携帯型冷却グッズとしておなじみの「ハンディーファン」です。

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レバーの往復運動が羽根の回転運動に転換される仕組み

 では、レバーの往復運動がどのようにして羽根の回転運動に転換されるのかを見ていきます。

 ギアユニットを開けてみると、図4のように3つのギアで構成されていることが分かります。レバーを握ると、このギアユニットを介して羽根に回転運動が伝わります。

手動式ハンディーファンのギアユニットの内部構造
図4 手動式ハンディーファンのギアユニットの内部構造[クリックで拡大]

 レバーの握り手の反対側には、歯形状が設けられています。この歯形状がギアユニット内のギアとかみ合います。レバーの握り手を握ると、レバーが軸を中心に回転し、その動きに伴って歯形状が移動し、ギアを回転させます。こうして、レバーの往復運動は回転運動へと転換されるのです(図5)。

レバーの往復運動を回転運動に転換する仕組み
図5 レバーの往復運動を回転運動に転換する仕組み[クリックで拡大]

羽根を高速で回転させる仕組み

 ただし、このままでは羽根に十分な回転数が与えられず、満足できる風を起こすことができません。十分な回転数を得るためには、ギア比の設定が重要になります。

 ギアユニットの中に組み込まれている3つのギアは、全て2段ギアになっています。これらのギアは、大きいギアが小さいギアにかみ合うように、互い違いに組み込まれています(図6)。

2段ギアが互い違いになるようにセットされている
図6 2段ギアが互い違いになるようにセットされている[クリックで拡大]

 ギアは、円周上に等間隔で歯が並んだ形状をしており、この歯の数を「歯数」と呼びます。図7のように、歯数が異なるギアを組み合わせることで、回転数や速度を変化させることができます。なお、歯数の比率を示す言葉には、「ギア比」「減速比」「変速比」「速度伝達比」などがあります。

ギア比によって回転数を変化させている
図7 ギア比によって回転数を変化させている[クリックで拡大]

 例えば、歯数30のギアを1周回すと、歯数12のギアは2.5周回ります。このように、歯数の異なるギアを組み合わせることで、回転数を変化させることができるのです。速度の変化量は、組み合わせるギアの歯数によって決まります。

 今回のハンディーファンでは、3つのギアを使用しています。このギア比により、レバーから伝わる力は「2.5周×3=7.5周分」に相当する回転数となって羽根に伝わります(※実際の製品の歯数とは異なります)。つまり、レバーを1回握るだけで、羽根がその何倍も回転するように設計されており、これがハンディーファンの風を生み出す上での重要なポイントとなっています。

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