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かつての“輸出大国”日本の復活はあるのか 貿易データが示す立ち位置の変化小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ(39)(2/3 ページ)

ビジネスを進める上で、日本経済の立ち位置を知ることはとても大切です。本連載では「スキマ時間に読める経済データ」をテーマに、役立つ情報を皆さんと共有していきます。今回は日本の貿易の変化や国際的な立ち位置について紹介します。

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日本の輸出額の国際的な立ち位置とは

 日本は輸出の多い国というイメージを持つ人も多いですが、国際的にどのような立ち位置なのかも確認してみましょう。図2は、財貨とサービスの輸出の国際比較です。為替レートで換算し比較しやすくしています。

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図2 財貨とサービスの輸出額の国際比較(為替レート換算値)[クリックで拡大] 出所:OECD Data Explorerを基に筆者が作成

 各国の輸出額を見てみると米国の圧倒的な水準が続いていましたが、近年では中国が米国を追い抜いています。中国の急激な躍進ぶりがよく分かりますね。ドイツが中国、米国に続いて第3位の水準となっています。また、2023年では日本よりも英国、フランス、オランダが上回っています。

 日本は1990年代まではドイツと米国に次ぐ水準を競っていましたが、最近は2倍以上の差が開いています。ドイツをはじめ欧州企業が伸びている背景には、欧州内での輸出入が活発化している背景もあると思います。ただ、経済規模の割には日本よりもはるかに貿易が多いことが分かります。欧州ではそれだけ貿易を通じて自国の強みを生かすことを考えられており、経済活動の合理化が進んでいるとも捉えられます。

 また、シンガポール、韓国、インド、アイルランドなどかつては日本よりも輸出の少なかった国々との差が近年は急激に縮まっています。日本の輸出における存在感が低下しているように見えます。

日本の輸出は多いのか? 対GDP比の国際比較

 輸出額の国際比較を見ると、日本は経済規模や人口の割に輸出が少ない特徴があるように見えます。そこで、別な見方で、各国の輸出規模をさらに掘り下げて比較していきます。

 図3は、対GDP比の輸出額の割合です。各国で生産される付加価値の合計であるGDPに対する輸出の割合を見ることで、各国の経済規模に応じた輸出の規模感を比較することができます。輸出対GDP比は、輸出依存度とも呼ばれる指標となっています。

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図3 財貨とサービスの輸出対GDP比(2023年)[クリックで拡大] 出所:OECD Data Explorerを基に筆者が作成

 財貨とサービスの輸出対GDP比を見ると、ルクセンブルクやアイルランドなど人口の少ない国や、東欧諸国が上位に並んでいます。

 人口や経済規模、経済水準の近い主要先進国で比べると、ドイツや韓国が40%を超えており、フランス、イタリア、カナダ、英国も30%以上となっています。GDPの3割以上に相応する輸出額に達していることになります。

 一方で日本は21.9%と2割程度の水準です。経済規模の割には輸出の少ない国という特徴があることが分かりますね。個人消費が多い米国は11.0%と先進国の中では極端に輸出依存度の低い国という特徴も確認できます。

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