領域を見極め画像処理技術を生かす東京エレクトロンデバイスの自動化システム:FAニュース(1/2 ページ)
製造現場には、まだ多くの手作業が残されている。東京エレクトロン デバイスは、光学技術と画像処理、それらで集めた情報を基に判断するアルゴリズムを強みとして、製造現場の自動化を推進している。同社の自動化システムの特徴などを紹介する。
製造現場にはまだまだ人手に頼った工程が存在する。ただ労働力のさらなる減少が見込まれることから、現場における自動化の推進が欠かせない。そんな中、東京エレクトロン デバイスは2025年9月4日、東京都内で記者会見を開き、製造現場の自動化の進め方や、同社の自動化システムの特徴、導入事例について紹介した。
メーカー×技術商社でいまだ人に依存する作業の自動化を推進
東京エレクトロン デバイスは、半導体製造装置を開発、製造する東京エレクトロンのグループ会社だ。同社は、メーカー機能と技術商社機能を掛け合わせ、半導体製品や電子部品などを販売するEC(Electronics Components)事業、ウエハー検査装置などプライベートブランド製品を製造、販売するPB(Private Brand)事業、ネットワーク/ストレージ関連製品などを手掛けるCN(Computer Network)事業を展開している。
特にPB事業では、基板の仕様検討から設計、量産までをワンストップで提供する設計/量産受託サービス事業と、ウエハー検査装置を中心とした計測/検査装置事業が柱になっている。その中で、日本のモノづくりの大きな課題になっている人手不足や技術継承を同社が挑戦すべき社会課題と捉え、製造現場で人手に依存している作業の自動化を進めている。
国内での製造業では、特定の作業を大量に繰り返し行う領域では自動化が進んでいる。一方で、1つのワークに対して1人でさまざまな作業をこなせるなど、人が器用なためにいまだ自動化が進んでいない領域も存在する。東京エレクトロン デバイス コーポレートオフィサー PB BU/副BUGM PB営業本部長の神本光敬氏は「そういった領域は自動化の投資対効果が得られにくいため、人手に頼ったままの現場がたくさんある。自動化を進めようとしても途中でプロジェクトが止まってしまうケースもある」と語る。
そこで同社が提案するのが、全ての自動化を想定するのではなく、投資対効果が見込める領域を見極めて自動化を進めることだ。また、現場はテクノロジーに長けた人が必ずしもいるわけではないため、自動化を推進するためには組織や人材のサポートが必要となる。東京エレクトロン デバイスでは、この両面の取り組みを進めている。
同社のコア技術となるのが、光学技術と画像処理、そして集めた情報を基に判断するアルゴリズムの開発だ。これらを軸として、それぞれの現場に対してソリューションを作り込んでいく。
2018年にはFA向け汎用画像処理装置の開発などを手掛けるファーストを買収し、2025年に吸収合併した。
「ファーストは、画像処理ライブラリそのものを製品化して提供している、国内では数少ない企業となっている。そのため、われわれとしても画像処理に強みを持っている。ただ一番重要なのは、正しいカメラを、正しく使い、正しく画像処理をすることだ。性能が高いカメラを使えばいいわけではなく、課題が何かを正しく理解し、必要なデータをどのように光学調整して得るかが重要だ。カメラと画像処理を適切に組み合わせないと欲しい結果が得られない」(神本氏)
このようにして開発されたソリューションは、さまざまな現場で活用されている。
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