プラントの生産効率分析を1カ月から1日に短縮、NTTの高速スパースモデリング技術:人工知能ニュース(1/2 ページ)
NTTは、大量のデータから重要な情報を選択してデータ分析を高速化する情報選択AIアルゴリズム群「高速スパースモデリング技術」を確立した。精度を理論保証しつつ従来アルゴリズムと比較して最大73倍の高速化が可能であり「世界最速級」(同社)とする。
NTTは2025年9月8日、大量のデータから重要な情報を選択してデータ分析を高速化する情報選択AI(人工知能)アルゴリズム群「高速スパースモデリング技術」を確立したと発表した。精度を理論保証しつつ従来アルゴリズムと比較して最大73倍の高速化が可能であり「世界最速級」(同社)とする。高速スパースモデリング技術は多様なデータ形式に適用できるため、製造、医療、マーケティング、エネルギーなどのあらゆる業界で生じている大量データの分析待ちの解消に貢献できるという。
スパースモデリングは、時系列データである工場のセンサーデータなど、データ数よりも次元数が多い高次元データの分析に強い技術だ。「得られた情報の中でも必要なものはごく一部で、その他の大部分は不要である」というスパース性を仮定することにより、大量のデータから重要な一部の情報を選択できることが特徴である。しかし、データが膨大になるほどスパースモデリングの処理時間も長くなり、現実的な時間内でデータを分析することは難しくなることが課題になっていた。
新たに開発した高速スパースモデリング技術の成果は2つある。1つは「枝刈りによる高速化アルゴリズムの確立」だ。スパースモデリングを用いてデータから重要な情報を選択する際には「必要な情報はごく一部である」と仮定するが、これを言い換えると「不要な情報が大量に存在する」とも解釈できる。高速スパースモデリング技術では、この不要な情報に対応する計算を安全にスキップする新たな枝刈りアリゴリズムの開発につなげた。
スパースモデリングは多くの情報から重要な一部の情報を選択する技術であり、一般的な枝刈りアリゴリズムは各情報の重要度を計算してそれが閾値以下であればその情報は重要でないと判定する。しかし、この重要度の計算は計算量が大きいため大規模データを対象にしたときに処理時間が長くなる原因になっていた。新たな枝刈りアリゴリズムは、データベース処理高速化技術から着想を得て、重要度よりも高速に計算できる重要度の上界を用いて閾値に対する判定を行うことで高速化を実現した。
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