製造業デジタルマーケティングの課題を「購買フローマップ」で解決する方法:間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(30)(1/3 ページ)
デジタルマーケティングを実践できている企業はそう多くない。本連載では「製造業のための正しいデジタルマーケティング知識」を伝えていく。第30回は、マーケティングの全体像を踏まえた戦略立案と施策選定に有効な手法として「購買フローマップ」の活用法を紹介する。
製造業におけるデジタルマーケティングでは、全体戦略を描かずに、部分的/場当たり的な施策に終始してしまい、成果につながらないケースが少なくない。
本稿では、そうした失敗を回避するために、マーケティングの全体像を踏まえた戦略立案と施策選定に有効な手法として、「購買フローマップ」の活用方法を解説する。
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「購買フローマップ」とは
購買フローマップとは、ターゲットユーザーが情報収集を開始してから購買に至るまでの一連のプロセスを可視化し、各ステップにおける関心事や検索視点を明らかにするフレームワークである。
B2B製造業では、取り扱う商材が高額かつ導入リスクも大きいため、意思決定には時間を要し、衝動的な購買はほとんど発生しない。計画的かつ慎重に進む長期的な検討プロセスが前提となる。
つまり、ターゲットユーザーの購買プロセスを正確に把握し、最適なタイミングで適切な情報を提供できるかどうかが、マーケティング施策の成果を左右する。
製造業のデジタルマーケティングにおいては、「ユーザーの購買タイミングをいかに捉えるか」が成功の鍵を握る。この点において購買フローマップは、ユーザー理解と戦略立案の両面を支える、極めて実践的なツールといえる。
購買フローマップの具体的な作成方法については、当社Webサイトに掲載の「顧客の購買プロセスを可視化する『購買フローマップ』」をご覧いただきたい。
購買フローマップ活用の実践例
ケーススタディーとして、以下のようなデジタルマーケティング活動を展開している製造業を想定し、その現状を購買フローマップの視点から整理した上で、課題の抽出と改善施策の検討を行いたい。
現状のデジタルマーケティング活動状況:
自社Webサイトには、以下の主要コンテンツが掲載されている。
- 製品紹介ページ
- 導入事例ページ
- 技術コラム(技術に関する基礎知識を扱う記事)
Googleサーチコンソールの分析結果によれば、現在の検索流入は、次の2種類のキーワードに大きく偏っている状況にある。
- 技術コラムに関連する技術の基礎知識キーワード
- 製品ページに関連する自社製品名による指名キーワード
マーケティングオートメーション(MA)ツールを導入し、展示会で獲得したリードに対して定期的にメールマガジン(以下、メルマガ)を配信しているが、資料請求や商談化といった具体的な成果にはほとんど結び付いていない。
また、Webサイト経由の問い合わせは一定数あるものの、問い合わせに至ったユーザーの流入元や導線を明確に把握できていない点も、今後の改善に向けて解決すべき重要な課題である。
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