最短3回タップで作業結果報告文が完成、クラウド設備管理システムにAI新機能:メンテナンス・レジリエンスTOKYO2025
八千代ソリューションズは「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2025」に出展し、クラウド設備管理システム「MENTENA」に新たに追加した機能「作業結果テキストの生成アシスト」を紹介した。
八千代ソリューションズは「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2025」(2025年7月23〜25日、東京ビッグサイト)の構成展の1つである「第51回プラントメンテナンスショー」に出展し、同社が提供するクラウド設備管理システム「MENTENA」において同月24日から提供を開始した新機能「作業結果テキストの生成アシスト」を紹介した。
紙やExcelによる設備保全業務を効率化、新機能も続々
MENTENAは、従来行われた紙やExcelによる煩雑な管理からクラウド型のシステムに移行することで、設備保全業務の効率化やデータの一元管理を実現するソリューションだ。2020年6月から運用を開始し、現在、食品や化学、医薬品、精密機器などの分野に普及。ユーザーは約600社、登録設備数は30万件、工場/拠点数は2万カ所となっている。
今回、追加された作業結果テキストの生成アシストは、生成AIを活用して点検、修理作業後の報告業務の一部を自動化するもので、データの入力作業にかかる時間を短縮する機能だ。
工場の設備保全の現場で詳細な報告書をその場で作成するのは困難だ。手書きは時間がかかり、ほとんどの現場は記入に適した環境になっていない。事務所に戻ってから記入しようとしても、記憶が曖昧で記入内容を誤る可能性もある。八千代ソリューションズによるユーザーへのヒアリングでも、管理職層からは「簡易な報告であっても確実に記録してほしい」との意向が示される一方で、現場では報告が定着せず、情報の蓄積が進まないといった声が多く寄せられていたという。
作業結果テキストの生成アシスト機能では、報告者は点検、清掃、交換、修理などの実施項目を選び、補足情報を入力するだけで、詳細な報告文を即座に作成できるようになる。最短で3タップで文章生成できるほか、補足情報の音声入力も可能。作業報告にかかる時間を大幅に短縮する。
MENTENAでは2025年4月にも、AIを活用したリクエスト内容の整合性チェック機能を追加している。これは、製造現場から保全部門へ作業を依頼する際に、依頼業務における画像の添付漏れや件名のミスなどの記述不備をAIで是正することで、部門間での作業プロセスの標準化や手戻りの削減を目指すものだ。
今後は、承認依頼をMicrosoft Teamsで確認、承認できるようにする機能強化も予定している。現状はEmailで通知しており、承認待ち時間を短縮し、作業着手までのスピードを高める。
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