富士通、サプライチェーンの損益影響を算出し意思決定を支えるソリューション提供:製造ITニュース
富士通は、グローバルサプライチェーンのレジリエンス強化を支援する新ソリューションの提供を開始した。企業内外のデータを統合して損益インパクトを迅速に算出し、最適な意思決定を支援する。
富士通は2025年7月2日、グローバルサプライチェーンのレジリエンス強化を支援する新ソリューションの提供を開始した。オールインワンオペレーションプラットフォーム「Fujitsu Data Intelligence PaaS」の新機能として提供する。
同ソリューションは、AI(人工知能)を活用して企業内外のデータを統合し、市場変動などによる影響が大きい製品の特定や損益インパクトを迅速に算出する。従来数週間かかっていた影響分析を数日で行い、AIエージェントによる提案により、シミュレーションに基づいた最適な意思決定を支援する。
利益原価構造の把握機能では、グローバルサプライチェーンにおいて、市場変動などで影響を受けているサプライヤーや工場を可視化し、製品別、ルート別の輸入コストを提示する。企業は、自社の利益や原価構造を詳細に把握し、潜在的なリスクを特定できる。
戦略プライシングシミュレーター機能では、市場変動による原価構造の変化があった場合、製品の価格変化が需要に与える影響を分析する価格弾力性モデルを用いて、最適な販売価格をシミュレートする。これにより、市場の変化に合わせた最適な価格戦略を策定し、収益を最大化できる。
オペレーション変更シミュレーター機能では、輸入コストが高騰している調達先を変更する際の原価構造や利益の変化を分析し、サプライチェーンの最適化を支援する。代替サプライヤーの選定や輸送ルートの変更といったオペレーション変更による影響を、各領域の専門AIエージェントが評価し、オーケストレーターエージェントが総合的な判断を行う。
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