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調達・生産プロセスにおけるサプライチェーンの革新サプライチェーンの新潮流「Logistics 4.0」と新たな事業機会(2)(1/3 ページ)

物流の第4次産業革命ともいえる「Logistics 4.0」の動向解説に加え、製造業などで生み出される新たな事業機会について紹介する本連載。第2回は、調達・生産プロセスにおけるサプライチェーンで起こりつつある革新について紹介する。

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⇒連載『サプライチェーンの新潮流「Logistics 4.0」と新たな事業機会』バックナンバー

サプライチェーンマネジメントとは

SCM
※写真はイメージです

 前回は、本連載の第1回目ということで、『物流の第4次産業革命「Logistics 4.0」とは何か』と題し、物流におけるイノベーションの変遷と動向を紹介しました。今回は、そのイノベーションがサプライチェーンにどのような革新的進化をもたらそうとしているのか、調達・生産プロセスを中心に解説をしたいと思います。

 ところで、本題に入る前に、(MONOistの読者の皆さまには釈迦に説法だと思いますが)「サプライチェーン」という用語の定義を確認させてください。日本語に訳すと「供給連鎖」になりますが、要するに、調達と生産から保管、輸送、販売に至るまでのプロセスを指します。つまり、「サプライチェーンマネジメント」とは、このプロセス全体を最適化するための手法です。

サプライチェーン/ロジスティクスの全体像
サプライチェーン/ロジスティクスの全体像(クリックで拡大) 出典:ローランド・ベルガー

 ポイントは「全体最適」にあります。調達コストの削減、歩留まりの向上、在庫コストの圧縮、輸送の効率化、営業力の強化といった「個別最適」ではなく、全社、あるいは、取引先も含めたサプライチェーン全体での最適化を指向することで、収益性を尚一層高めようとするわけです。

 誤解を恐れずにいえば、

  • 生産・物流・営業部門が機動的に判断できる基準を導入することで、在庫の圧縮と欠品率の低減を両立させる
  • 営業担当に対して納品時間に応じたインセンティブを与えることで、物流コストを低減する
  • 発注ロットを小さくすることで、調達コストは増加するが、生産・輸送コストをそれ以上に削減する
  • 出荷までのリードタイムを短縮することで、生産コストは増えるが、キャッシュフローを大幅に改善する

といった、組織の垣根を越えた「全体最適」を追求することこそがサプライチェーンマネジメントのあるべき姿といえるでしょう。

サプライチェーンマネジメントによる全体最適の実現
サプライチェーンマネジメントによる全体最適の実現(クリックで拡大)

 しかしながら、この「全体最適」を実現できている企業はあまり多くありません。「言うは易く行うは難し」の典型です。最大の課題は、「全体最適」を追求するために必要なデジタルデータをリアルタイムで把握することにあります。特に物流はブラックボックス化しやすく、コストの内訳や投入工数などを工程別、拠点別、製品種類別、顧客別に分解できない企業が少なくありません。

 実のところ、

  • カイゼン活動を通じて工場の生産性を高めることに成功したが、在庫や輸送コストの増加により減益となった
  • 生産コストはさておき、物流や営業コストを分解できないので、顧客別の営業利益は分からない
  • 部門ごとにKPI(重要業績評価指標)を設定しているが、全てのKPIを達成しても、全社の収益目標を達成できないことがある
  • サプライチェーンマネジメント室を設置したが、物流コストしか管理できていない

という例は、決して珍しくないのです。

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