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「有効作業分析法」を全社展開してモノづくりの変革にチャレンジ!:現場改善を定量化する分析手法とは(14)(2/3 ページ)
工場の現場改善を定量化する科学的アプローチを可能にする手法を学習する本連載。第13回は、第11回から説明してきた「有効作業分析法」の最終回。工場での具体的な運用方法や実施例とその考察、全社展開に向けた課題などについて説明します。
1.3 組織活動としての運用
有効作業分析法による作業改善は、一部の職場にとどまらず、部門単位や工場全体の活動に展開して作業効率の平均値を上げ、経営改善に結び付けることが目的です。
一方で、この作業改善は、計画から実施状況のフォローアップまで1〜3カ月くらいを要する活動であり、多くの管理監督者によって確実に実施されるためには、個別の実施状況をフォローアップしていく必要がありますが現実的ではありません。従って、全員の意識付けを含めた全体で推進していく組織(システム)を作って取り組む必要があります。
例えば、職場ごとに順番を決めて成果報告会を実施することは、確実な実施のためのフォローと活動の盛り上げに非常に効果的であり、効果を上げている例も多くあります。表3に全体推進システムの例を示します。
1.4 分析における留意点
分析における主な留意点は以下の通りです。有効作業分析法を適用する際の参考にしてください。表4で工場内への展開事例も示しておきました。
- (1)動画撮影(動画ミーティングにも使うことを考慮して撮影を行うこと)
- (a)標準作業であることを確認する
- (b)カメラはブレないように必ず三脚を使う
- (c)作業内容が後で見て分解できるように撮影する
- (d)作業は手先だけでなく、顔や上半身も撮影する
- (e)撮影時間は、作業者1人当たり3分以内で行う
- (2)UPT(Up time:停止せずに連続稼働稼している時間)測定
- (a)動画を見ながら動作分析を行う
- (b)UPTをストップウォッチで測定する
- (3)作業速度のレーティング(Rating、実際の作業速度を正常作業速度と比較して評価する速度評定法のこと)
- (a)レーティング標準動画を用意する
- (b)自職場での代表的な作業のレーティング動画集を作成する
- (c)レーティングは複数のスタッフで行う
- (d)レート値は、100%、95%、105%……など、5%単位の刻みで行う
- (e)レーティングは作業の動画を見て行う。この時音声を消して行う
- (f)例えば、動画撮影用機材がVTR(Video Tape Recorder)の場合は、PinP(Picture in Picture)機能を備えている機種で実作業と標準作業速度を同時に表示すると便利である
- (4)動画分析ミーティング
- (a)作業者に自分の作業と標準作業速度の動画を見せて意識付けを行う
- (b)ミーティングは1時間半〜2時間程度で、人数は20人以下が適当
- (c)最初に標準作業速度動画を、次に対象者の作業動画の順に見せること
- (d)終了後に感想文などを書いてもらうと良い
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