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ソーダ石灰ガラスの溶融工程でCO2フリーを実現 原料と燃料に工夫:脱炭素
日本山村硝子は、大阪大学、東京ガス、関西電力との共同研究により、非炭酸塩系のナトリウム、カルシウムシリケートを原料に使用し、ガラスびんなどに用いられるソーダ石灰ガラスを、CO2を排出しないアンモニア燃焼で溶融することに成功し、ガラス溶融工程におけるCO2フリーが可能であることを実証したと発表した。
日本山村硝子は2025年6月10日、大阪大学、東京ガス、関西電力との共同研究により、非炭酸塩系のナトリウム、カルシウムシリケートを原料に使用し、ガラスびんなどに用いられるソーダ石灰ガラスを、CO2を排出しないアンモニア燃焼で溶融することに成功し、ガラス溶融工程におけるCO2フリーが可能であることを実証したと発表した。
原燃料由来CO2排出量ゼロを実現する技術を構築
ソーダ石灰ガラス製品の製造では、ガラス溶融工程においてCO2が発生する炭酸カルシウムや炭酸ナトリウムなどの炭酸塩原料と、都市ガスなどの化石燃料が使用されており、CO2の排出が避けられなかった。燃料の脱炭素化に関しては、水素やアンモニアを燃料とした研究が進められているが、原料由来のCO2排出量削減も大きな課題となっていた。
今回の研究では、炭酸ナトリウムおよび炭酸カルシウムを使用せず、CO2を含まないナトリウム、カルシウムシリケートを用いることで、原料由来のCO2排出をなくした。さらに、燃料にはCO2を排出しないアンモニアを使用することで、ガラス溶融工程における原燃料由来CO2排出量ゼロを実現する技術を構築した。
この研究開発は、日本山村硝子が2023年4月〜2026年3月を対象とした中期経営計画で掲げる経営方針「循環型社会の実現に向けた開発」の一環に位置付けられるものだ。
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