“リアルを解決”する現場目線の技術やサービス、関西スマート工場EXPOレポート:[関西]スマート工場EXPOレポート(3/3 ページ)
2025年5月14〜16日にインテックス大阪で「関西Factory Innovation Week 2025」が初開催された。本稿では、構成展の1つである「[関西]スマート工場EXPO」出展ブースの中から特に印象的だった企業を紹介する。
スマート工場の“守り”を担う――中電シーティーアイ
中部電力グループのIT子会社、中電シーティーアイは、スマート工場に不可欠な「守り」のソリューションとして、工場システムのセキュリティと予兆保全対策を提案している。ITとOT(制御技術)のネットワークが統合される昨今、工場もサイバー攻撃の脅威にさらされており、セキュリティ対策は避けて通れないテーマとなっている。
同社は、まずセキュリティアセスメントを実施し、現場のネットワーク構成の可視化や脆弱性やリスクを特定し、工場全体の防御力強化の対策を講じる。また日々発生するサイバー攻撃を24時間365日体制の監視サービスにも対応。設備保全においても、長年培った解析技術を活用し、振動センサーや可視化カメラのデータを分析することで、異常の兆候を捉えた予防保全につなげるサービスを提供している。
さらに、落雷による設備損傷を未然に防ぐ「雷鳴神’s Eye(雷情報配信サービス)」も注目を集めている。精度の高い気象シミュレーション技術を活用し、工場の位置に対してピンポイントで落雷の危険度や衰退状況をアラートで送ることが可能で、導入企業の設備保全を支援している。
高度化する製造現場において、“守りのDX”を支える存在として、同社の技術が注目を集めている。
在庫管理の“面倒”をゼロに――ZAICO
クラウド型在庫管理システム「zaico」を開発、提供するZAICOは、現場の在庫業務を自動化する仕組みを紹介した。スマートフォンと2次元コード、さらにIoT(モノのインターネット)重量計を活用することで、誰でも簡単に在庫管理ができる点が特徴だ。実際、70代/80代のユーザーでも問題なく操作できるという。
現場の課題として多いのが「在庫管理は重要だが、面倒で後回しにされがち」という実情である。紙やExcelによる管理が依然として多く、カウントミスや作業の属人化が課題となっている。同社は、物を置くだけ/取るだけで自動カウントされるIoT重量計と、2次元コードを読み取るだけのシンプルな操作性で、そうした課題を一気に解消する。
特に注目されていたのは、重量計を活用した“数えない在庫管理”。例えば100個入りの袋を置いておけば、使用に応じて残量が自動で反映され、在庫切れも事前に把握できる。加えて、棚卸しにもアプリで対応可能なため、作業時間の8割以上を削減した事例もあるそうだ。
月額制で無料トライアルも提供されており、すでに累計18万社以上が導入。zaicoは「在庫は人が数える時代から、システムが見守る時代へ」と、現場の常識を静かに塗り替えつつある。
LiDARで現場を見守る「ILLUMIERE」――小糸製作所
自動車ランプメーカーとして知られる小糸製作所が披露したのは、光技術を応用した移動体検知システム「ILLUMIERE(イルミエル)」。車載用LiDAR(Light Detection and Ranging)をベースに開発されたこの製品は、工場/インフラ向けに定点設置し、車両や人の位置/距離をリアルタイムで検知する新たなソリューションだ。
LiDARは、3Dデータを使って正確な距離/形を見るため、単眼カメラの2D画像を基に距離を推定するのとは違い、監視対象の重なりによる誤検知も減らせる。最大100m超の検知が可能で、カメラでは難しい夜間や暗所でも高精度な動体認識を実現。
なお、AIカメラなどで必要となる事前学習も不要で、すぐに稼働できる点も特徴である。
構内のフォークリフトやトラックの動きを把握し、優先車両の通行を自動で判断して構内の信号機を制御するなど、渋滞緩和や流れの最適化に貢献する。また、作業者の動線と作業時間を可視化することで、工程改善やレイアウトの見直しにもつなげられる。
トラックの入退場管理や駐車場の空き状況の検知、安全エリアへの侵入検知による事故防止など、多彩な活用が可能で、現場の運用効率と安全性を同時に向上させる。信号機や警報装置との連携も想定しており、既存の設備と柔軟に統合できる点も魅力だ。
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