台湾の釣具メーカーが手掛ける「観光工場」の魅力:ワクワクを原動力に! ものづくりなヒト探訪記(23)(2/3 ページ)
本連載では、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。今回は、台湾の釣具メーカーであるOKUMAが運営する観光工場「OKUMA CENTER」の訪問記を、工場長のインタビューを交えてお届けします。
施設案内編(1):1階のアトラクションエリア
いよいよ施設を見学します。まずは、呉さんのこだわりが詰まった1階のアトラクションエリアです。
入り口を入ると、巨大な釣り体験アトラクションが目に飛び込んできます。誰しも子どものころに一度は遊んだことのある釣りゲーム玩具を大型化したもの……といえばイメージできるでしょうか。
ものづくり新聞 釣りをしているこの白いクマのキャラクターは、OKUMA CENTERのオリジナルキャラクターですか?
呉さん はい。「ポウ(宝)」という名前のホッキョクグマをモチーフにしたキャラクターです。ちょっとやんちゃな性格で、米国出身という設定になっています。2018年に、企業や観光工場のコンセプトと照らし合わせながら、デザイン会社と一緒に考えました。館内のショップではポウのグッズも販売していますし、着ぐるみが館内に登場することもあります。
ものづくり新聞 観光工場を作る上で、オリジナルキャラクターは必須なのですか?
呉さん いえ、必須ではありません。ただ、オリジナルキャラクターがいると、より評価されるシステムになっています。環境教育がテーマですが、楽しさも大切なのでオリジナルキャラクターを導入することにしました。
釣り体験アトラクションは360度どこからでも参加できる設計です。平日でも家族連れでにぎわっていました。
実際に体験してみると、魚が口をパクパクさせながらリアルに動き、重さも感じられ、大人でも十分に楽しめました。もちろん、釣具はOKUMA製です。ちなみに、魚は“手作り”だそうで、強度や重さにこだわって何度も改良されたそうです。
釣り体験アトラクションの他にも、小さな子ども向けに、マグネット付きの魚を釣って色の組み合わせで景品がもらえるゲームや、OKUMAの商品を購入できるショップもありました。
施設案内編(2):2階の楽しく学べるエリア
続いて2階へ。漁港をイメージしてデザインされたこのエリアは、1階とは雰囲気ががらりと変わり、探検心がくすぐられる空間になっています(ポウと記念撮影ができるブースもありました)。
さらに奥に進むと、釣りについて学べる展示エリアがあります。青い照明に包まれた空間に入ると、まるで別世界に来たかのような感覚になります。
ここでは、呉さんが特にこだわった2つの展示を見せていただきました。
1つ目は、カメの展示です。甲羅の扉を開けると、中にはプラスチックごみが入っており、「海でもしゴミを捨ててしまった場合、それはどこに行くと思いますか?」というメッセージが添えられています。海に捨てられたごみの一部をカメなどの海洋生物が誤って食べてしまう……という現実を分かりやすく伝えています。
2つ目は、ホッキョクグマの親子のイラストです。地球温暖化で住処を失い、親子が離れ離れになってしまった姿が描かれています。家族との別れを想像することで、環境問題を身近に感じてもらう意図があります。
その他、台湾の地域ごとの釣り情報が得られるインタラクティブな展示もあり、その場で釣具を購入できる仕組みも整っています。さらに、魚がかかった(釣れた)ときの手応えを再現する体験装置なども設置されていました。
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