AMにおける戦略的パートナーシップと2025年版3Dプリンティングツールを発表:3Dプリンタニュース
Materialiseは、RaplasやOne Click Metalとの戦略的パートナーシップと、2025年版「Magics」のリリースを発表した。航空宇宙、医療、自動車分野などでのAMの活用を推進する。
Materialiseは2025年4月8日(現地時間)、RaplasやOne Click Metalとの戦略的パートナーシップと、2025年版「Magics」のリリースを発表した。航空宇宙、医療、自動車分野などでのAM(アディティブマニュファクチャリング)の活用を推進する。
同年5月にリリース予定の最新版のMagicsでは、nTopのImplicit(インプリシット)モデリング機能を統合。メッシュ変換をしなくてもImplicitモデルをシームレスに処理できるため、複雑なパーツの造形準備時間を短縮する。また、Materialiseのソフトウェア「Build Processor」の高度なスライス機能を組み合わせることで、データ量やメモリ要件が課題となり造形できなかった複雑なパーツの設計、造形が可能になった。
他にBREP処理機能を拡張しており、Magics上でネイティブなCADジオメトリを直接扱えるようになった。計測や壁厚分析、ネスティング(3D自動配置)、STEPファイルのエクスポートなど高度な機能に対応し、CAMやCADソフトウェアとシームレスに統合できる。
3D造形では、総コストのうち4〜6割を後処理加工が占めるが、Magicsはパーツコストの最適化を図った。パーツ置き換え時にサポートを複製し、設計の反復作業を効率化する量産試作向けの機能や、サポートを最小化して後処理加工を軽減しつつ高品質な造形を実現できる、LPBFなどに適した機能を備える。
効率的なワークフローに向けて、押し出し操作は処理速度が70%、抜き穴作成は同50%向上している。ビデオメモリ使用量は、メッシュパーツの表示で最大40%削減した。
さらに同社は、Raplas、One Click Metalとの協業を通じて、次世代型Build Processorを2種類発表した。SLA装置と樹脂材料の製造に実績を持つRaplasとは、量産向けのAMで樹脂ベースの「Raplas NextGen Build Processor」を発表している。
同年3月には、One Click MetalとのBuild Processor統合を発表。統合により、スタートアップ企業から既存の製造業まで中規模の産業に対し、柔軟で拡張性のあるAMの選択肢を提供する。ユーザーは生産プロセスをより細かく管理し、作業効率を高めながら、高品質な製品を製造できるようになる。
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