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オペアンプをコンパレーターとして使って見る今岡通博の俺流!組み込み用語解説(12)(2/2 ページ)

今岡通博氏による、組み込み開発に新しく関わることになった読者に向けた組み込み用語解説の連載コラム。第12回は、オペアンプをコンパレーターとして活用する事例を紹介する。

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コンパレーターの動作を実測

 図4はコンパレーターの基準電圧を生成する回路です。

図4
図4 コンパレーターの基準電圧を生成する回路

 今回は2.0Vのツェナーダイオードを用いました。VCCは5Vです。抵抗Rは通常5m〜10mAが流れるように値を決めます。460Ωだと多少10mAを上回りますがスペック的には問題なさそうですのでこの値にしました。出力は2.0Vとなります。

 図5はヒステリシスのしきい値電圧の差を確認するための回路です。

図5
図5 ヒステリシスのしきい値電圧の差を確認するための回路

 基準電圧(ref)にはツェナーダイオードが作った2.0Vが印加されます。入力(in)は可変抵抗(VR)でVCC(5V)を分圧した電圧を印加します。コンパレーターの出力はD2の発光ダイオードで確認できます。VRのノブを回していき、LEDの消灯から点灯、また点灯から消灯に変わった時点のinの電圧を測定します。

 図6はブレッドボード上に実装した実験回路です。

図6
図6 ブレッドボード上に実装した実験回路[クリックで拡大]

 左側のUSBコネクターから5Vを供給します。USBケーブルが浮くとブレッドボードからコネクターが抜けるので黒いビニールテープを巻いて固定しています。ブレッドボードの左下にあるLEDでコンパレーターの出力を確認します。中央にあるICチップがLM358で、その右側にある青いツマミが可変抵抗です。マイナスドライバーなどで回して使用します。右端にある赤と黒のクリップは電圧を測るテスターにつながっています。

 結果は以下の表1の通りです。コンパレーターの出力が0から1(lo->hi)に変わるしきい値と、1から0(hi->lo)に変わるしきい値について、計算値と実測値、実測値の平均、計算値と実測値の平均の誤差などを求めました。

項目 lo->hi hi->lo
ref 1.9778 1.9912
Vout 0.6267 3.637
Calc 1.3026 2.8141
1 1.304 2.803
2 1.3005 2.81
3 1.3002 2.805
ave 1.30157 2.806
err(%) -0.05247 -0.2878
表1 実験回路におけるしきい値

 1行目のrefは定電圧回路で生成した電圧ですが、オペアンプの出力がLoの時とHiの時では多少電圧が異なるので、それも計算に加味しています。

 2行目はオペアンプの出力がLoの時とHiの時の電圧です。

 3行目のCalcはそれぞれのしきい値の電圧です。

 4〜6行目にある1〜3が実測値です。それぞれ3回測定しました。7行目のaveがその平均値で、8行目のerrでは計算値と実測値の平均値の誤差を百分率で表しています。

おわりに

 表1の結果を見ると一応1%以内の誤差に収まっています。手動で可変抵抗を回して、目視でLEDを確認することを考慮するとまずまずの値ではないでしょうか。

 今回は、原理を説明する都合上、基準電圧を生成するためにツェナーダイオードを用いました。しかし、これ以外にもコンパレーターにヒステリシスを持たせる方法は幾つかあります。用途に合わせて許容できるコストになるように方法を選択してみてください。

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