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チャタリング対策を考慮しつつ機械系接点の開閉回数をマイコンに計数させる今岡通博の俺流!組み込み用語解説(9)(1/2 ページ)

今岡通博氏による、組み込み開発に新しく関わることになった読者に向けた組み込み用語解説の連載コラム。第9回は、第7〜8回で取り上げたチャタリング対策を考慮しつつ、機械系接点の開閉回数をマイコンに計数させるプログラムを紹介する。

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はじめに

 前回はタクトスイッチの押下により2値の状態遷移を繰り返すトグル動作を例にチャタリング対策について考えてみました。今回は、チャタリング対策を考慮しつつ、機械系接点の開閉回数をマイコンに計数させるプログラムを紹介します。

 例えば、FA(ファクトリーオートメーション)の現場においては、人が操作するメカニカルスイッチばかりでなくシーケンサーの出力をマイコンでハンドリングすることも多々あります。最近のシーケンサーの出力はほとんど半導体素子に置き換わっているのでチャタリングを気にすることはないのですが、過去のシステムをどうしても新しいシステムに改修できない事情がある現場では、古いシーケンサーなどが現役で働いていることも珍しくありません。その場合、シーケンサーからの出力に電磁リレー(図1)を使用していることもあります。これだと接点が機械的に開閉しますので、入力を受け持つマイコン側では何らかのチャタリング対策が必要になります。

図1
図1 電磁リレー[クリックで拡大] 出所:Wikipediaより、Raimond Spekking, CC BY-SA 4.0、ウィキメディア・コモンズ経由で

⇒連載「今岡通博の俺流!組み込み用語解説」バックナンバー

あらためてタクトスイッチについて解説

 冒頭の「はじめに」では電磁リレーの話をしましたが、今回の実験では機械系接点をタクトスイッチで代用します。

 筆者の過去の連載記事でタクトスイッチは何度も登場しています。そこでは特に取り立てて説明したことはありませんでしたが、これを機にみっちり解説したいと思います。

 図2は今回使うタクトスイッチの寸法を示した図です。

図2
図2 タクトスイッチの寸法図面[クリックで拡大]

 このタクトスイッチは最も一般的なもので、特にブレッドボードに装填するなどの用途には適しています。

 平べったく長方形の形状をしています。図2内の左上にある図を参照ください。その中央にある黒い円形のボタンを押下することで接点は閉じ、放すと接点は開きます。

 図2内の右上の図が内部の接点と、接続ピンとの回路を示しています。長方形のそれぞれの頂点には接続ピンが4本ありそれぞれのピンの間隔は2dipと3dipとなっています。1dipというのは2.54mm間隔のことを指します。3dip離れた2つのピンの間は常に導通しています。一方、2dip離れたpinの間はボタンを押下すると接点が閉じ、放すと開きます。

マイコン

 マイコンはArduino Nano Atmega168を用いています。これもArduino純正品ではなく互換品です。6〜7年前までセキュリティ・キャンプの講師をやっていたとき、教材として購入したものです。当時、中国のWebサイトで2米ドルを切るような価格だったと思います。Arduino Nanoは当時から、CPUがAtmega328の方が主流ですが、筆者が用意したセキュリティ・キャンプの教材がコード領域のフラッシュメモリ32KBを使い切るという代物ではなかったので、少しでも安価なフラッシュメモリが半分の16KBのAtmega168にした次第です。

 Arduino Nanoでは、ArduinoIDEでCPUを選択する必要があります。ボード上に実装されているCPUがAtmega328なのかAtmega168なのか、筆者の年齢になると肉眼で判別するのはかなり無理があります。ただし、Arduinoは電源を供給するとパイロットランプ代わりのLEDが点灯するのですが、赤いLEDが点灯する場合はAtmega328で、緑色のLEDが点灯した場合はAtmega168ということになります。

 最近は他にも困ったことがあります。当時のArduino NanoのUSBコネクターはミニBタイプなのですが、今ではめっきり見かけなくなりました。今購入するとしたらArduino本体の2米ドルよりはるかに高価かもしれません。

 本記事を執筆中に中国の通販Webサイトを見てみましたが、USBコネクターがType-CのArduino Nanoも販売されています。当時と比べて価格はさまざまな要因で2倍くらいになっていますが、ミニBタイプのUSBケーブルを別途購入することを考えれば納得できる価格ではないでしょうか。

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