日産が低遅延の没入型VR無線設計環境を構築 協働設計の実現へ:VRニュース
日産自動車が、HTCの「HTC G REIGNS ローカル5GネットワークおよびエッジクラウドVRソリューション」を導入した。高速で安定した低遅延の没入型VR無線設計環境での協働設計が可能になる。
HTCは2025年3月5日、「HTC G REIGNS ローカル5GネットワークおよびエッジクラウドVRソリューション」を日産自動車(日産)が導入したと発表した。導入により、高速で安定した低遅延の没入型VR(仮想現実)無線設計環境を構築。高セキュリティの没入型VR協働環境により、デザイン開発の効率が向上した。
日産では、これまでHTCのVR技術「HTC VIVE」を活用し、仮想現実環境で車両デザインを確認してきた。しかし、デザインの精密度が高まったことでチーム規模が拡大し、通信の遅延や帯域幅の制約から映像が不安定になるといった課題があった。
同ソリューションは、HTCの5Gスタンドアロン技術を活用し、エンドツーエンドのローカルネットワークソリューションを提供する。これにより、リモートストリーミング、エッジコンピューティング、高セキュリティのネットワーク保護機能を統合し、高速で低遅延の広範な接続が可能となる。
ローカル5Gネットワーク環境を基盤とするため、PCとHMD(ヘッドマウントディスプレイ)がクリーンかつ干渉のないセキュアなネットワークに接続され、デザインデータの漏えいリスクを低減できる。リモートストリーミング管理と連携し、高解像度3Dモデルの即時レンダリングとインタラクションに対応。同時ディスカッションは最大10数人まで可能で、意思決定の質の向上が期待できる。
Open RANオープンアーキテクチャ設計に基づき、規格適合機器であれば仮想基地局の構築が可能だ。従来の通信設備への依存を大幅に削減し、導入コストを抑えつつ高いセキュリティを確保できる。また、VRデバイス、スマートフォン、PCなど、多様な端末に対応する。
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