あなたの知らない「ボタン」の世界 唯一無二の“押し放題”施設ができたワケ:ワクワクを原動力に! ものづくりなヒト探訪記(21)(7/7 ページ)
本連載では、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。第21回では島田電機製作所のボタンを“押す”がテーマの施設「OSEBA」を運営する、島田電機製作所を取材しました。
ついに、1000のボタンとご対面!
――これが「1000のボタン」ですか……! エレベーターのボタンだけでなく、変わったボタンがたくさんありますね。これらは全て実際に押せるんですか?
小倉さん はい、全て押し放題です(笑)。「あったらいいな、こんなボタン」という企画で一般の方から募集したボタンや、当社の従業員が考えた面白ボタンもありますので、ぜひ見つけて押してみてください。あと、実はこの中に1つだけ仕掛けがあるボタンがありまして……。
――仕掛け! それを探すのも面白そうですね。お子さんが夢中になるのもわかる気がします。なんだかボタンってワケもなく押したくなりますもんね。ポチポチ……ポチポチ……あっ!
小倉さん あ、早速仕掛けを見つけちゃいましたね!
――ビックリしました(笑)。なるほど、これはぜひ現地で確認していただきたいですね!
――それにしても、すごいボタンの数ですね! 小倉さんのお気に入りのボタンはどれですか?
小倉さん 1つに絞るのはとても難しいですが、やはり気になるのは「絶対に! 押すな」ボタンですね。押すなといわれると余計に押したくなるあの願望が、OSEBAでなら叶います(笑)。
――分かります、これは絶対押しちゃうヤツですね! 他に、OSEBAに来たらここを見てほしい、というポイントはありますか?
小倉さん 「1000のボタン」の他、ボタンの作り方や島田電機の歴史を解説しているコーナーなどもあり、遊ぶだけでなく学べる施設であるのもポイントです。ボタンを通じて、私たち島田人のボタンに対する思いや情熱に触れ、共感していただけたらうれしいですね。
――おかげさまで、ボタンの世界を堪能できました。小倉さん、そしてボタンについて教えてくださった齋藤さん、ありがとうございました! それでは最後になりますが、お二人にとって、「ボタンを押す」とはどんなことか、教えていただけますでしょうか?
齋藤さん 「新たなステージの、扉を開けること」でしょうか。自分の意志でボタンを押して、それが新しいステージへ踏み出すきっかけになればいいなと思いますね。
小倉さん 「ボタンを押せば、何かはじまる」ですね。ほとんど齋藤さんに言われてしまいましたが(笑)、やはりボタンを押したことが何かのスタートになればうれしいなと思います。
――まさに島田カルチャーを言語化したような、ステキなお言葉をいただきました! 島田電機の皆さん、ありがとうございました。
押すをテーマにした遊び空間「OSEBA」
- 所在地
東京都八王子市大和田町3丁目11-1 - 営業日
毎週月曜〜金曜、島田電機の営業日(定休日:毎週水曜日) - 入場時間
(1)10:00〜11:00(2)11:00〜12:00(3)13:00〜14:00(4)14:00〜15:00(5)15:00〜16:00(6)16:00〜16:30(最終入場:16:30) - 入場料
大人(中学生以上):1000円、小人(1歳〜小学生以下):500円、0〜1歳未満:無料
昇降機業界の方:500円(来場時に名刺をご提示ください)
現地へのアクセス方法や予約などの詳細は、島田電機のWebサイトをご確認ください。
おわりに
「遊び心」。今回の取材を通して感じたのは、まさにそれでした。仕事に「遊び心」をうまく取り入れることで、企業も人も、こんなに面白くなるんだと。そして、面白い企業には、魅力的な人たちが集まるんだということも改めて学びました。
島田電機では、「ボタンが好きな人」「ボタンをつくり続ける島田電機が好きな人」「OSEBAに遊びに来てくれた人」など、ボタン愛にあふれた人のことを「ボタンズ」と呼んでいるそうです。今回、OSEBAでたくさんのボタンを押し、その魅力に触れたことで、私もさらにボタンが好きになりました。(もちろん島田電機も)これで私も一人前のボタンズになれたかな、オフィスに向かうエレベーターのボタンを眺めながら、そんなことを思っています。
そうそう。晴れてボタンズとなったからには、こちらもご紹介しておきたいと思います。島田電機の島田社長自らが作詞をしたというボタンズのためのカンパニーソング、その名も「ボタンを押せば」。島田電機のマスコットキャラクター「ボタンちゃん」が登場する、かわいらしい一曲です。ぜひ、こちらも聴いてみてください!
- ボタンを押せば by ボタンズ - ”Push the Button” by Buttons(クリックするとYouTubeに遷移します)
(ものづくり新聞 木戸一幸)
著者紹介
ものづくり新聞
Webサイト:https://makingthingsnews.com/
note:https://note.com/monojirei
「あらゆる人がものづくりを通して好奇心と喜びでワクワクし続ける社会の実現」をビジョンに活動するウェブメディアです。
2025年現在、180本以上のインタビュー記事を公開。伝統工芸、地場産業の取り組み、町工場の製品開発ストーリー、産業観光イベント、ものづくりと日本の歴史コラムといった独自の切り口で、ものづくりに関わる人と取り組みを発信しています。
編集長
伊藤宗寿
製造業向けコンサルティング(DX改革、IT化、PLM/PDM導入支援、経営支援)のかたわら、日本と世界の製造業を盛り上げるためにものづくり新聞を立ち上げた。クラフトビール好き。
記者
中野涼奈
新卒で金型メーカーに入社し、金属部品の磨き工程と測定工程を担当。2020年からものづくり新聞記者として活動。
佐藤日向子
スウェーデンの大学で学士課程を修了。輸入貿易会社、ブランディングコンサルティング会社、日本菓子販売の米国ベンチャーなどを経て、2023年からものづくり新聞にジョイン。
木戸一幸
フリーライターとして25年活動し、150冊以上の書籍に携わる。2022年よりものづくり新聞の記事校正を担当。専門はゲーム文化/サブカルチャーであるが、かつては劇団の脚本を担当するなど、ジャンルにとらわれない書き手を目指している。
小柴寿美子
ナレーター。企業PV・Web-CMなど2000本以上。元NHKキャスター・リポーターとして番組制作をしていた経験を生かし、2024年9月からものづくり新聞へ参入。粘り強い取材力が強み。
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