経済産業省は2025年1月23日、「GX推進のためのグリーン鉄研究会」の取りまとめ結果を発表した。同研究会は2024年10月に立ち上げ、「グリーン鉄(グリーンスチール)」の市場拡大に向けたアクションプランなどを検討してきた。
鉄鋼業は日本の温室効果ガスの1割、産業部門の4割弱を排出しており、排出量の削減が課題となっている。生産プロセスは、CO2排出量のほとんどを占め、鉄鉱石を還元する高炉プロセスと、鉄スクラップを溶解するが排出量が少ない電炉プロセスがある。電炉プロセスのCO2排出量は高炉プロセスの4分の1ほどだが、電炉プロセスでの粗鋼生産は高炉プロセスの3分の1程度と少ないためCO2排出削減へのインパクトはまだ大きいとはいえない。
ただ、鉄スクラップの供給には制約があり、電炉プロセスだけでは世界全体の鋼材需要を満たすことができない。また、自動車向けなど用途によっては不純物などが問題になるため従来の電炉プロセスでは生産できない鋼材もあり、鉄鉱石由来の鉄鋼は今後も必要だと見込まれている。そのため従来型の高炉プロセスから転換を図り、鉄鉱石還元時のCO2排出量を減らしながら、鉄スクラップも最大限に活用して必要な鋼材を供給していくことが求められる。
また、脱炭素化された製鉄プロセスによる鉄鋼製品は既存の鋼材と機能面に違いがないにもかかわらず、初期の段階では従来製品よりも割高になる可能性がある。鉄鋼業の持続可能な脱炭素化はグリーン鉄の市場拡大がカギを握る。
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