産業用メタバース向け没入型エンジニアリングの実現に向けて前進:VRニュース
Siemens Digital Industries Softwareはソニーとの協働により、次世代の没入型エンジニアリングロードマップが実現に向かっていることを発表した。シーメンスの「NX」とソニーのHMDとの統合で産業用メタバースの構築が可能となる。
Siemens Digital Industries Software(以下、シーメンス)は2025年1月15日、ソニーとの協働により、次世代の没入型エンジニアリングロードマップが実現に向かっていることを発表した。シーメンスの製品エンジニアリング用ソフトウェア「NX」とソニーのヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)との統合により、産業用メタバースの構築が可能になる。
ソニーのHMDとは、独自のレンダリング技術と高解像度の1.3型4K OLEDマイクロディスプレイを採用したXR HMD「SRH-S1」のことで、リアルタイムに3Dオブジェクトを高精細かつリアルにレンダリングでき、クリエイティブな用途に適したHMDだ。
シーメンスのイマーシブエンジニアリング技術は、設計者やエンジニアが独自のコントローラーでパーツをより簡単に視覚化、設計、編集できる。これにより、イマーシブエンジニアリングツールセットは、忠実度の高いMR(複合現実)や3Dを活用したコラボレーションを実現する。
同ソリューションには、3D CADデータを用いた設計レビューや共同作業が可能な「NX Immersive Explorer」、3DモデルをNX内で自由にやりとり/操作/コラボレーションでき、仮想設計セッションの可能性を広げて補完する「NX Immersive Designer」、複数の参加者が一堂に会して、またはリモートで設計レビューできる「NX Immersive Collaborator」が含まれる。
NX Immersive Designerは、シーメンスのバリューベースのライセンスを通じ、最新のアップデートで全てのNXユーザーに提供されている。NX Immersive Collaboratorは、バリューベースのライセンスを通じ、NX Xアップデートで2025年1月後半の提供開始を予定している。
また、「NX Immersive Engineering」ツールは、4K OLEDマイクロディスプレイと専用コントローラーを搭載したソニーのHMD製品限定として開発。コントローラー搭載のHMDには、NX Immersive ExplorerとNX Immersive Designerの両方が必要で、出荷開始は2025年2月を予定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「Apple Vision Pro」で何ができる? 製造業での活用の可能性を探る
Appleが「WWDC23」で発表した空間コンピューティングデバイス「Apple Vision Pro」。既に製造業でもVR/AR/MRを活用したソリューションが登場し、現場に浸透しつつある中、Vision Proは製造業にどのようなインパクトをもたらすのだろうか。 - 製造業こそ「メタバース」に真剣に向き合うべき
2022年は「メタバース」に関するさまざまな技術やサービスが登場すると予想されます。単なるバズワードとして捉えている方も多いかと思いますが、ユースケースをひも解いてみると、モノづくりに携わる皆さんや設計者の方々にも深く関わっていることが見えてきます。一体どんな世界をもたらしてくれるのでしょうか。 - 日産がMR技術活用で外観目視検査の作業習熟期間を半減、指導工数は9割減
オンラインイベント「製造・自動車業界DXフォーラム2021」において、日産自動車は「【日産自動車が進める生産現場のDX】 Mixed Realityを活用した早期作業習熟の実現」と題し、2021年10月に発表した「ニッサンインテリジェントファクトリー」の取り組みの1つである「MR(複合現実感)を活用した革新的作業指導」について紹介した。 - トヨタが挑戦するxRを活用したもっといいクルマづくりとサービス提供
オンラインイベント「Unity道場 自動車編」において、トヨタ自動車 サービス技術部 主幹の栢野浩一氏が登壇し、「トヨタのxR活用で進める現場DXへの挑戦 〜UnityとHoloLens 2を用いて〜」をテーマに、販売店への展開を中心としたサービス技術領域における「HoloLens 2」を活用した取り組みや、xR技術の試行事例などについて紹介した。 - 工場やオフィスなど現実空間を対象にARコンテンツをレイアウトできる技術
PTCジャパンはメディア向けラウンドテーブルを開催し、同社の産業向けAR(拡張現実)ソリューション「Vuforia Studio」が提供する空間コンピューティング「Area Targets(エリアターゲット)」の特長やその可能性について説明した。 - 3D CADで作った3Dデータを生かし切るVRとARの進化
AI(人工知能)と同じく2016年にブームを迎えたVR(仮想現実)。2017年以降、このVRが、製造業や建設業の設計開発プロセスに大きな変化を与えそうだ。AR(拡張現実)についても、「デジタルツイン」をキーワードに3D CADで作成した3Dデータの活用が進む可能性が高い。