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東大筑波大の最新スパコン「Miyabi」が本稼働、性能は研究用で富岳に次ぐ第2位人工知能ニュース(2/3 ページ)

東京大学 情報基盤センターと筑波大学 計算科学研究センターの共同組織である最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC)は、最新のスパコン「Miyabi」を報道陣に公開した。

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「AI for Science」を中心としたメッセージをこれからも発信

JCAHPC 副施設長の千葉滋氏
JCAHPC 副施設長の千葉滋氏

 ただし、x86のCPUのメニーコア構成となるOakforest-PACSと、ArmのCPU+GPUで構成されるMiyabi-Gとの間にソフトウェアの互換性はないため、Oakforest-PACSのユーザーはプログラムを書き換える必要があり、JCAHPCでは技術的な説明会を開催するなどしてユーザーの移行をサポートしてきた。JCAHPC副施設長の千葉滋氏(東京大学 情報基盤センター長 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 教授)は、「ユーザーと密接に協力しながら、プログラムの書き換えや新しいプログラムの開発を共同で推進することもJCAHPCのミッションの一つ」と説明した。

 Miyabi-Gに採用されたNVIDIA GH200 Grace Hopper Superchipは、Hopper世代のH200 GPUとArmアーキテクチャのGrace CPUで構成されている。JCAHPCによれば、MiyabiはNVIDIA GH200 Grace Hopper Superchipを使って構築された国内初のスパコンになるという。

Miyabi-Gを構成しているSupermicro製の1Uノード
Miyabi-Gを構成しているSupermicro製の1Uノード。2組のNVIDIA GH200 Grace Hopper Superchip(写真内右上)が搭載されている[クリックで拡大] 出所:JCAHPC
JCAHPC 運用支援部門 部門長の塙敏博氏
JCAHPC 運用支援部門 部門長の塙敏博氏

 JCAHPC運用支援部門 部門長の塙敏博氏(東京大学 情報基盤センター 教授 スーパーコンピューティング研究部門 大学院工学系研究科電気系工学専攻)は、「NVIDIA GH200 Grace Hopper Superchipは、GPUとCPUが密結合されていて、かつ、それぞれのアドレス空間をユニファイドメモリとしてアクセスできるという特徴を持っている。そのため、AI for Scienceにおいて、シミュレーションやデータ解析はGrace上で処理し、AI的な推論などはGPU上で処理するなど、一つのノード内で密に連携しながら計算するような新しい手法が実現できるのではないかと期待している」と語る。

JCAHPC 運用支援部門 副部門長の建部修見氏
JCAHPC 運用支援部門 副部門長の建部修見氏

 JCAHPC運用支援部 副部門長の建部修見氏(筑波大学 計算科学研究センター 副センター長 教授)はMiyabiのストレージシステムについて触れた。「MiyabiにはNVMe SSDで構成し1.0TB/sという高い転送速度を実現した容量11.3PBのオールフラッシュストレージを接続している。また、Miyabiからもアクセス可能な共有ストレージとして、25.9PBの『Ipomoea-01』と呼ぶストレージも新たに設置した」(建部氏)。

 会見の最後にJCAHPC施設長の朴氏は「Miyabiは日本の国立大学としてナンバーワンのスパコンであり、極めて大規模なソフトウェアも実行可能だ。共同利用などの制度を通じて日本中の研究者に使ってもらいたいと思っており、JCAHPCとしてもAI for Scienceを中心としたメッセージをこれからも発信していく」と述べている。

 その後、東京大学柏キャンパス内に設置されているMiyabiの見学会が行われた。次ページでは、見学会で紹介されたMiyabiの設備を写真で紹介する。

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