ラグランジュの方程式(その1)〜仮想仕事の原理と一般座標・一般力〜:1Dモデリングの勘所(39)(2/3 ページ)
「1Dモデリング」に関する連載。連載第39回では「ラグランジュの方程式(その1)」と題し、仮想仕事の原理と静的問題への適用例を示した後、ラグランジュの方程式の基礎となる一般座標と一般力について説明する。
仮想仕事の原理の静的問題への適用
仮想仕事の原理による静的問題の解法
仮想仕事の原理がどのように役立つのか、動的問題について考える前に、静的問題についての適用例を図3を用いて紹介する。
図3(a)に示すように、長さ1m、質量10kgの2本の棒が互いに回転フリーなジョイントで接合され、さらに点Aが回転フリーで固定され、自由にスライドでき、かつ回転フリーな点Bを25Nの力で引っ張って、静的につり合った状態にあるものとする。このときの角変位θがいくつになるか、仮想仕事の原理を用いて求める。
図3(b)のように、角変位θのときの点Bのx方向座標および各棒の重心位置のy方向座標の仮想変位は式6となる。
一方、この仮想変位による仮想仕事について、仮想仕事の原理から0とすると、
となる。この式に必要な値を代入すると、
となり、これを整理すると、
となり、最終的には、
が求まる。
通常の方法による静的問題の解法
次に、通常の方法で図3(a)の問題を解いてみよう。このとき、さまざまな方法が考えられるが、その一例を図4を用いて説明する。
まず、図4(a)に示すように、各点に作用する力を定義すると、x方向、y方向の力のつり合い式と、点A周りのモーメントのつり合い式は以下となる。
式11を未知数Ax、Ay、Byについて解くと(第3式のcosθは両辺から消去できるので計算には影響しない)、
となる。
次に、右側の棒だけに着目すると図4(b)となる。図4(a)と同様に力とモーメントのつり合い式を考えると、
となる。これを解くと、
となり、最終的には、
となる。
力学を理解する上では(教育的には)通常の方法がよいと個人的には考えるが、実用的には(特に構造が複雑な場合には)、仮想仕事の原理を用いる方が間違いが少ない。
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