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エッジAIで車室内の機能を進化させる、TIがCESで車載向け新製品を発表CES 2025(1/2 ページ)

日本テキサスインスツルメンツ(日本TI)が「CES 2025」で発表した新製品である、車室内向け60GHz帯ミリ波レーダーセンサー「AWRL6844」、車載オーディオ処理用のMCU「AM275x-Q1」とプロセッサ「AM62D-Q1」について説明した。

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 日本テキサスインスツルメンツ(日本TI)は2025年1月16日、オンラインで会見を開き、エレクトロニクスを中心とした最先端テクノロジーの展示会である「CES 2025」(2025年1月7〜10日、米国ネバダ州ラスベガス)で発表した新製品について説明した。車室内向け60GHz帯ミリ波レーダーセンサー「AWRL6844」、車載オーディオ処理用のMCU「AM275x-Q1」とプロセッサ「AM62D-Q1」で、ともにエッジAI(人工知能)の活用によって車室内の機能を進化させられることを特徴としており、既に発注可能な状態にある。

1パッケージで3つの機能を実現する60GHz帯ミリ波レーダーセンサー

 AWRL6844は、60GHz帯ミリ波レーダーのトランスミッターとレシーバー、フロントエンド回路やレーダー信号処理するための制御システム、先進的なセンシング機能を実現するエッジAI処理に用いられるオンチップアクセラレータ、DSPなどを1パッケージに集積したセンサーである。4×4チャネルのアンテナアレイにより、車室内の前席と後席の乗員を識別するための最適な空間分解能を有している。

「AWRL6844」の回路ブロック図と特徴
「AWRL6844」の回路ブロック図と特徴[クリックで拡大] 出所:日本TI

 最大の特長は、エッジAIの活用により「シートベルト警告」「子ども置き去り検知」「侵入者検知」という3つの機能を一体化することに成功している点だ。「シートベルト警告」では、座席の占有状況と乗員の位置検出を98%の精度で行い、運転を始める前に乗員に対してシートベルトの装着を自動で警告することができる。荷物などの重い無生物と人体を区別できるので、乗員の誤検知による不要な警告を削減できるという。

「AWRL6844」で実現できる3つの機能
「AWRL6844」で実現できる3つの機能[クリックで拡大] 出所:日本TI

 停車後に動作する「子ども置き去り検知」では、エッジAIの活用によりわずかな動きをリアルタイムで検出できるので、意図せぬ子どもの車内への置き去りを防げる。最大5人の乗員を90%以上の精度で分類し、子ども、大人、荷物などの無生物を区別できる。なお、「子ども置き去り検知」の機能は欧州の自動車アセスメントであるEuroNCAPで導入が予定されており、対応することでEuroNCAPのスコアを4点加算できるという。

 「侵入者検知」では、最大98%の精度で車室内への外部からの侵入を検知できるという。他の検知方式で課題となっている、車体の振動や外力によって発生する誤検知を抑制できる点が強みだ。また、エンジンや主電源を停止後に動作を続ける必要がある機能なので消費電力の低減が重要であり、平均消費電力は50mW未満に抑えている。

 TIによれば、これら3つの機能を従来技術で実現しようとすると、超音波センサー×1、UWBセンサー×2、シート内に組み込む重量センサー×3が必要で、システムの総コストは約39米ドルに達するという。AWRL6844の場合、ヘッドユニットにAWRL6844を1個組み込むだけで同じ機能を実現でき、システムの総コストを半額の約20米ドルに抑えられる。

「AWRL6844」によりセンサー数とコストを大幅に削減できる
「AWRL6844」によりセンサー数とコストを大幅に削減できる[クリックで拡大] 出所:日本TI

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