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インタビュー

コスモの製油所デジタルプラント化 三現主義を解消する技術とは?素材/化学インタビュー(1/4 ページ)

コスモエネルギーグループに、製油所のデジタルプラント化の背景や特徴、導入による大きな利点、今後の展開について聞いた。

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 コスモエネルギーグループは2025年度の完全実装を目指して、千葉製油所(千葉県市原市)、堺製油所(大阪府堺市)、四日市製油所(三重県四日市市)で「デジタルプラント化」を進めている。

 コスモ石油 工務部 保全戦略グループ長の吉井清英氏とコスモエネルギーホールディングス IT推進部 システム開発1グループ長の八谷鉄正氏に、製油所のデジタルプラント化の背景や特徴、導入による大きな利点、今後の展開について聞いた。

製油所デジタルプラント化の背景

MONOist 製油所のデジタルプラント化の背景を聞かせてください。

コスモ石油 工務部 保全戦略グループ長の吉井清英氏
コスモ石油 工務部 保全戦略グループ長の吉井清英氏

吉井清英氏(以下、吉井氏) コスモエネルギーグループでは中期経営計画とグループ理念をつなぐ中長期のビジョン「Vision 2030」を掲げている。Vision 2030では、グリーン電力サプライチェーンの強化、SAF(Sustainable Aviation Fuel)や水素などの次世代エネルギーの拡大、石油事業の競争力強化および低炭素化の3つの方針を設け、石油事業の競争力強化に関してはデジタルプラント化での実現を目指している。

「Vision 2030」の目標
「Vision 2030」の目標[クリックで拡大] 出所:コスモエネルギーホールディングス

 コスモエネルギーグループではオイルビジネスの中核に位置する製油所の将来像について、「2030年に製油所がどうあるべきか」という問いを立てて解決策を検討している。

 市場に目を向けると燃料需要は減少しており2030年に向けて漸減(ぜんげん)が予想されている。一方、再生可能エネルギーはSAFを中心に2020年比で2030年には大幅に需要が増加する見込みだ。

 そんな中で雇用環境がどうなるかというと、厚生労働省が発表したデータによれば、2020年比で2030年は生産年齢人口が8%減ると予測されている。また現状では就活生の約80%は、在宅勤務が可能な会社を選びたいと希望している。

2030年に製油所はどうあるべきか
2030年に製油所はどうあるべきか[クリックで拡大] 出所:コスモエネルギーホールディングス

 これらの背景を踏まえてコスモエネルギーグループでは、製油所はアセットライトで利益を最大化する他、既存の設備を活用しSAFなどの次世代燃料を生産できるようにしなくてはいけないと考えている。雇用環境や生産年齢人口の減少に対しては、自動化などで省人化を図ることに加えて、雇用を確保するために在宅で製油所のエンジニアリングや管理ができる環境の構築も検討する必要がある。

 生産性を上げるためにAI(人工知能)なども活用して、製油所のエンジニアリング業務の効率化や意思決定を迅速化することも重要だ。あるいは、在宅で製油所のエンジニアリングや管理できる将来を検討する必要がある。製油所でカーボンニュートラルを実現するためには、CO2の排出量を見える化する高精度のシミュレーションも必須だ。

 これらを一気通貫で実現するデジタルプラットフォームが必要だという判断に至り、コスモエネルギーグループはデジタルプラットフォームによる製油所のデジタルプラント化をスタートした。

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