「混流」と「自動化」で冷蔵庫の生産効率を3割向上、リサイクルにも技術を反映:日立GLS栃木事業所レポート(後編)(1/4 ページ)
日立グロバールライフソリューションズ(日立GLS)が栃木事業所内にある冷蔵庫生産ラインと、同社傘下で家電リサイクル事業を担う関東エコリサイクルのリサイクル工場を報道陣に公開。後編では、栃木事業所の冷蔵庫生産ラインや安全体感センター、関東エコリサイクルのリサイクル工場の取り組みについて紹介する。
日立グロバールライフソリューションズ(日立GLS)は2024年11月15日、栃木事業所(栃木県栃木市)内にある冷蔵庫生産ラインと、同社傘下で家電リサイクル事業を担う関東エコリサイクルのリサイクル工場を報道陣に公開した。
前編では栃木事業所における冷蔵庫やエコキュートの生産の全体像を紹介したが、後編は、直近の3年間で生産効率を30%向上したという冷蔵庫生産ラインや、安全体感センター、関東エコリサイクルのリサイクル工場の取り組みについて紹介する。
混流生産を実現した栃木事業所の冷蔵庫生産ライン
栃木事業所の冷蔵庫の生産ラインは、樹脂製の内箱にさまざまな部品を取り付ける「内箱前組」、鋼板への曲げ加工や穴あけを行によって外板を作る「製缶/外板」、製缶した外板に前組した内箱を組み付ける「外箱前組」、組み立てた外板と内箱の間にウレタンを注入する「外箱発泡」、圧縮機などの冷凍サイクル部品と取り付ける「サイクル組立」、その他の部品を組み付ける「総組立」、外扉を取り付ける「扉取付」、冷蔵室や冷凍室内の内装品を取り付ける「内装品取付」、製品出荷に向けた品質確保のためさまざまな試験を行う「商用試験」、段ボール箱などで梱包して出荷可能な状態にする「荷造梱包」の10工程から構成されている。
これら10工程の内、「製缶/外板」〜「サイクル組立」は栃木事業所第6工場の建屋1階で、「総組立」〜「商用試験」と「荷造梱包」の一部は2階で行っている。
栃木事業所の冷蔵庫生産ラインの最大の特徴は、1つのコンベヤー上に複数の品種が混在した状態で生産を行う混流生産であることだ。これによって、同じ品種をまとめて生産する単流生産と比べて、在庫を大幅に削減するとともに、日々需要が変動するそれぞれの品種を適量補充できるようになっている。
この混流生産の基盤となっているのが、市場動向に合わせたフレキシブルな生産計画を可能とするとともに、当日の計画に対する進捗を適切に管理するためのMES(製造実行システム)である。混流生産では、各工程での部品投入の順序を管理するとともに、それらのトレーサビリティーも確保しなければ、歩留まりを上げることは難しい。MESによる計画に基づいて、外箱や内箱などの各部品に装着しているバーコードを連携させることで、取り違えのない部品投入や組み立て作業が可能になっているのだ。
生産の自動化率も高い。1階で行っている「製缶/外板」「外箱前組」「外箱発泡」の工程は設備やロボットによってほとんどが自動化されている。鋼板の曲げ加工や穴あけなどを設備で連続して行うため「製缶/外板」は約100mもの長さのラインになっている。また、外板に断熱材を貼り付ける工程では産業用ロボットが用いられている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.