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カーボンナノチューブ向け溶剤系分散剤を発売、高分散のCNT分散液製造に対応材料技術

スギノマシンは、カーボンナノチューブ向け溶剤系分散剤「IMa-UNDP」を発売した。セルロースナノファイバーを極長繊維タイプにした乾燥体で、高分散のCNT分散液の製造を可能とする。

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 スギノマシンは2024年12月5日、カーボンナノチューブ(CNT)向け溶剤系分散剤「IMa-UNDP」を発売したと発表した。同社のセルロースナノファイバー「BiNFi-s(ビンフィス)」極長繊維タイプの乾燥体で、湿式微粒化装置「スターバースト」との併用で高分散のCNT分散液を製造できる。

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溶剤系分散剤「IMa-UNDP」 出所:スギノマシン
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「スターバーストミニ機」(左)と単層CNT分散液(右) 出所:スギノマシン

 CNTは導電性や熱伝導性に優れるが、液中で凝集しやすい。そのため、液中で分散状態を維持するには分散剤が必要となる。既存の分散剤は熱や物理的なダメージに弱いが、IMa-UNDPはセルロースナノファイバーの立体斥力により、CNTの高い分散性と減粘効果が得られる。

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CNT分散メカニズム[クリックで拡大] 出所:スギノマシン

 実験では、0.2wt%の少量のIMa-UNDPを添加してスターバーストで分散処理したところ、CNTの凝集が見られず、高い分散効果を発揮していた。一般的に使われるポリビニルピロリドン(PVP)と比較すると、分散液全体に対してPVPは2wt%の量を添加する必要があるが、IMa-UNDPはその10分の1の量で分散できる。

 調整したCNT分散液を銅箔に滴下し、乾燥後に電子顕微鏡で観察すると、添加材なしの場合は凝集したCNTが見られたが、IMa-UNDPを添加した場合はCNTの凝集がなく、繊維形状が維持されていた。このことから、CNTの凝集を抑制することで、電気特性や熱伝導性などの向上が期待できる。

 また、IMa-UNDPを分散剤として添加すると、CNT分散液の粘度を大幅に低下できることが分かった。PVP添加品や未添加品に比べて高い粘度低減効果が得られ、取り扱いが容易な上、CNTの高濃度化が期待できる。

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