レゾナックの半導体材料事業が進めるサステナビリティ戦略とは?:脱炭素(1/3 ページ)
レゾナック・ホールディングスは、「レゾナック サステナビリティ説明会2024」で、半導体材料事業を題材に同社の事業戦略とサステナビリティーの取り組みについて説明した。
レゾナック・ホールディングスは2024年12月9日、オンラインで「レゾナック サステナビリティ説明会2024」を開催し、半導体材料事業を題材に同社の事業戦略とサステナビリティーの取り組みについて説明した。
各事業における気候変動影響分析の進捗状況
同社は事業会社として「レゾナック株式会社」を2023年1月1日に発足した。レゾナックは、昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)の事業を統合した機能性化学メーカーで、昭和電工が扱っていた石油化学、化学品、黒鉛電極の事業と、旧日立化成の半導体/電子材料やEV関連材料の事業を保有している。
レゾナックのサステナビリティに向けた取り組みに関しては、設立以前の2019年に企業の気候変動への取り組みや影響に財務情報を開示する枠組み「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に賛同し、主要事業について定性的な事業影響の評価を開始し、統合報告書などで開示をスタートした。2022年にはサステナビリティの共通言語化を行った。
2023〜2025年にかけては、取締役会で監視監督体制を強化し、各事業における気候変動の事業機会とリスクを洗い出し、定量化を行っている。事業機会とリスクへの対応策も検討し、全社および各事業の5カ年計画に組み込み、財務影響については部分的な開示を開始した。2026年以降はこれらの結果を基に定期的に影響分析を見直し、事業戦略をアップデートする。
レゾナック サステナビリティ部 推進グループマネジャー カーボンニュートラルプロジェクトリーダーの上山留美氏は、「今後は開示要請が高まっている生物多様性の取り組みについても開示を検討していく」とコメントした。
各事業における気候変動影響分析の進捗状況に関しては、エレクトロニクス事業本部では2023年に、ハードディスク事業部、デバイスソリューション事業部、モビリティ事業本部は2024年に詳細分析を完了した。機能材料事業本部では2025年に詳細分析を完了する予定で、基礎化学品事業部とグラファイト事業部では2025年に詳細分析を行う予定だ。
エレクトロニクス事業本部の気候変動分析結果について、リスクとしては「原材料の高騰、素材切り替えによる調達コスト増」と「顧客の行動/意識変化に伴う売上減少」が判明した。
「原材料の高騰、素材切り替えによる調達コスト増」への対策として「原材料の調達先/リソースの多様化」「リサイクル原料の活用検討」「供給不安材料の内製化」「地産地消型生産シフト」などを行っている。
「顧客の行動/意識変化に伴う売上減少」への対策としては、「製造工程における温室効果ガス(GHG)排出量削減および顧客への情報開示」「環境配慮型製造工程の検討」「環境/社会のニーズ把握に向けた販売マーケティング」「新製品開発体制の強化」などを実施している。
さらに、事業機会として「電気自動車(EV)/自動運転の需要増に伴う売上増加」「低消費電力半導体、環境配慮型製品の需要増による売上増加」「テレワーク化、自動化、データ化普及による、サーバ関連設備/データセンターの脱炭素化に伴う売上増加」を見込んでいる。
「EV/自動運転の需要増に伴う売上増加」に対してはシリコンカーバイド(SiC)パワー半導体需要増大への対応と部品の小型化/軽量化に貢献する材料開発を行っている。
「低消費電力半導体、環境配慮型製品の需要増による売上増加」と「テレワーク化、自動化、データ化普及による、サーバ関連設備/データセンターの脱炭素化に伴う売上増加」に対しては、「環境対応へ貢献する材料開発」と「ステークホルダーとの共創」を実施している。
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