検索
連載

2024年度上期の新車生産は4年ぶりに前年割れ、足元も厳しく自動車メーカー生産動向(2/4 ページ)

型式指定の認証不正問題や中国市場の競争激化などにより、日系自動車メーカーの新車生産が落ち込んでいる。日系乗用車メーカー8社の2024年度上期の世界生産合計は、4年ぶりに前年度実績を下回った。

Share
Tweet
LINE
Hatena

トヨタ自動車

 メーカー別に見ると、トヨタの2024年度上期のグローバル生産台数は前年同期比7.0%減の470万5037台と4年ぶりに減少へ転じた。中でも主力モデルを相次ぎ生産停止した国内生産の落ち込みが顕著で、同9.4%減の153万3526台と2年ぶりのマイナスとなった。「プリウス」が後席ドアハンドルの不具合によるリコールで4月上旬から6月中旬まで稼働を停止した他、生産工程の確認のため「ノア/ヴォクシー」とアルファードも4月上旬から中旬まで停止。

 さらに、6月に発覚した認証不正問題により、「ヤリスクロス」「カローラフィールダー/アクシオ」の生産を9月上旬まで停止した。輸出も、主力の北米向けを2割減らしたことが響き、前年同期比10.7%減と2年ぶりの前年割れで、国内生産減少の一因となった。

 海外生産も伸び悩んだ。2024年上期は前年同期比5.8%減の317万1511台と4年ぶりに前年実績を下回った。前年が半導体の供給改善で高水準だった他、中国が市場のEVシフトによる販売競争の激化により同17.1%減と大幅減となり、2年連続の前年割れ。中国以外のアジアも、インドは堅調な需要や3直化により同14.2%増と伸長したが、主要市場のタイはヤリスシリーズが好調だが経済低迷や自動車ローンの厳格化などで同7.4%減と低迷した他、インドネシアもローンの厳格化で同3.4%減と伸び悩んだ。その結果、中国を含むアジアトータルでは同8.8%減となった。

 けん引役だった主力の北米も、堅調な需要やHEV人気はプラス材料となったが、運転席エアバッグのリコールによる「レクサスTX」と「グランドハイランダー」の生産停止が響き、前年同期比1.7%減と4年ぶりに減少に転じた。欧州は、堅調な需要や、前年8月にチェコで発生した部品工場火災の反動もあり、同3.2%増とプラスを確保した。

トヨタの9月の状況

 足元でも厳しさが続いている。9月単月のグローバル生産は、前年同月比8.3%減の82万6556台と8カ月連続のマイナスだった。このうち国内生産は、同10.6%減の27万7915台と2カ月連続の前年割れ。前年が2桁パーセント増と好調だった他、8月末から続く台風10号による稼働停止や、認証不正によりヤリスクロスなど3車種の生産停止が響いた。

 海外生産も伸び悩み、前年同月比7.0%減の54万8641台と7カ月連続で前年実績を下回った。中国は競争激化による販売減少を受けて同18.8%減と大幅減となり、8カ月連続のマイナス。中国以外のアジアは、タイが同14.5%減、インドネシアが同11.4%減と振るわず、インドは同4.9%増と伸長したが、中国などアジア主要市場の落ち込みをカバーできず、アジアトータルでは同13.0%減と8カ月連続で減少した。

 主要市場の北米も、リコールによる生産停止の影響により前年同期比9.9%減と2カ月連続のマイナス。一方、欧州は前年の部品工場火災の反動増により同32.1%増と大きく伸長し、2カ月ぶりの増加だった。

ホンダ

 ホンダの2024年度上期のグローバル生産は、前年同期比8.1%減の181万7415台と2年ぶりに前年実績を下回った。EVシフトなどにより競争が激化する中国が同34.2%減と前年以上に落ち込んだことが主因だ。中国は4年連続のマイナスだった。中国の減産によりアジアトータルも同26.8%減と6年連続で減少した。ホンダ 副社長の青山真二氏は決算説明会で「中国の台数は想定以上に減少のスピードが早い」と厳しさを説明。このため、今期中に工場の閉鎖などで生産能力を引き下げる他、人員削減にも踏み込む。

 これにより中国の年間生産能力は、新設したEV専用工場を含めて149万台から120万台とする計画だが、それでも「足元の販売ペースと比べると多く、さらなる削減を進める話を始めた」(青山氏)という状況だ。

 一方で、好調を維持したのが北米だ。HEV人気などにより「シビック」や「CR-V」の受注が好調で前年同期比4.9%増と2年連続でプラスを確保した。それでも中国の大幅減はカバーできず、海外生産トータルでは、同10.8%減の147万9240台と2年ぶりにマイナスへ転じた。

 国内生産は好調で、前年同期比6.2%増の33万8175台と3年連続のプラス。国内市場では、前年も半導体の供給改善で高水準だったが、納期が短縮したこともあり登録車・軽自動車ともに販売好調だった。2024年度上期の国内販売では、国内最量販車種の「N-BOX」は同1.8%増とプラスを確保し、車名別ランキングでは唯一の10万台超えで首位を守った。登録車では新型を投入した「フリード」の他、「ヴェゼル」「ステップワゴン」など主力モデルが2桁パーセント増の伸びを見せた。

ホンダの9月の状況

 ホンダも足元の状況はさらに悪化している。9月単月の世界生産は、前年同月比20.0%減の29万8845台と大きく落ち込み、2カ月連続のマイナス。8社で最大の落ち幅となった。特に厳しいのが海外生産で、同24.0%減の23万7138台と2カ月連続の減少。こちらも8社で最も厳しい落ち込みだ。

 中でも中国は販売低迷を受けて、東風ホンダの3工場全ての稼働を8月26日から9月11日まで17日間停止した。その結果、9月の中国生産は前年同期比57.7%減と半減以下まで減らし、2カ月連続で減少した。その結果、アジアトータルも同47.0%減と、5カ月連続で前年実績を下回った。販売が好調な北米は、同2.6%増と2カ月ぶりのプラスだった。国内生産は、同0.3%増の6万1707台と、水準の高い前年9月並みを確保し、2カ月ぶりに増加した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る