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月3000回超の機種切り替え、100年に一度の変革期に挑むパナソニックAS松本工場メイドインジャパンの現場力(1/2 ページ)

パナソニックグループで車載機器を開発、生産するパナソニック オートモーティブシステムズのグローバルトップランナー工場として同事業部のモノづくりをけん引する松本工場(長野県松本市)の取り組みを紹介する。

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 100年に一度の大変革期といわれる自動車産業にあって、車載機器も大きな転換点を迎えている。現在、パナソニックグループで車載機器を開発、生産するパナソニック オートモーティブシステムズにおいて、売り上げの約36%(2023年度)を占めるのがインフォテインメントシステムズ事業部だ。

 本稿では、グローバルトップランナー工場として同事業部のモノづくりをけん引する松本工場(長野県松本市)の取り組みを紹介する。

ニーズの多様化で進む超多品種少量生産

 松本工場は1974年に操業を開始し、2024年で50周年を迎えた。カーラジオの生産からスタートし、クルマの進化とともにオーディオやカーナビゲーション、ETC、車載地デジチューナーなどへ生産品目を変えていった。国内には松本工場の他に、2024年に稼働を始めた松阪工場(三重県松阪市)、敦賀工場(福井県敦賀市)、草津工場(滋賀県草津市)、白河工場(福島県白河市)があり、海外には中国やタイ、マレーシアなどに計10カ所の生産拠点がある。

パナソニック オートモーティブシステムズの松本工場
パナソニック オートモーティブシステムズの松本工場[クリックで拡大]

 現在、松本工場が主に生産しているのがIVI(インビークルインフォテインメント)だ。インフォテインメントとは、インフォメーション(情報)とエンターテインメント(娯楽)を掛け合わせた造語で、IVIはクルマの中でオーディオやナビゲーション、スマートフォンとの連携、HMI(ヒューマンマシンインタフェース)などの機能を有した車載システムとなる。

 パナソニック オートモーティブシステムズ インフォテインメントシステムズ事業部 松本工場 工場長の粟澤学氏は「自動車産業は100年に一度の変革期といわれている。スマートフォンのように、ソフトウェアのアップデートでクルマの機能がバージョンアップされる世界へ変わっている。異業種からの参入もあって市場競争は激化している。その中で、われわれのIVI事業はグローバルでトップシェアを誇っている」と語る。

松本工場の主な生産品目
松本工場の主な生産品目[クリックで拡大]出所:パナソニック オートモーティブシステムズ

 消費者のニーズの多様化とともに、モノづくりの現場では多品種少量生産が進んでいる。数年前まで1車種で2、3機種のIVIだったのが、ディスプレイのサイズが大型化していく中で、仕向け地などによってサイズが多様化して現在は1つの車種でも10〜20機種ほどのバリエーションへと拡大している。

「松本工場の中で生産しているIVIは700品番ほど存在している。生産のロットも100台以下が7割を占めており、まさに多品種少量生産となっている。1つのIVIには約5種類の基板が入っており、品番が増えると同時に基板実装の種類も増え、1カ月に3000回以上の機種切り替えが発生している。国内外の生産拠点と比べても、切り替え回数が多い」(粟澤氏)

IVIの多品種少量生産が進む背景
IVIの多品種少量生産が進む背景[クリックで拡大]出所:パナソニック オートモーティブシステムズ
松本工場のIVIの基板実装ライン。1カ月で3000回以上の機種切り替えが行われる
松本工場のIVIの基板実装ライン。1カ月で3000回以上の機種切り替えが行われる[クリックで拡大]
3D外観検査機を活用して不良流出を防止
3D外観検査機を活用して不良流出を防止[クリックで拡大]

 機種切り替えが増えると、その分、稼働率が低下する恐れがあるが、「われわれはこれをビジネスチャンスと捉えて、変種変量生産にジャストインタイムで対応する追従力を付け、高効率生産を実現していく」(粟澤氏)。

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