イチから全部作ってみよう(14)異常系を組み込んだら仕様書が膨れ上がった!:山浦恒央の“くみこみ”な話(183)(2/3 ページ)
ECサイトを題材にソフトウェア開発の全工程を学ぶ新シリーズ「イチから全部作ってみよう」がスタート。シリーズ第14回は、第12回と第13回で検討した異常系を、第11回で作成したたこ焼き屋の模擬店の要求仕様書に組み込んでみる。
5.たこ焼き出店における役割分担(改訂版の要求仕様書:赤字が改訂箇所)
5.1 目的
文化祭の出し物として、たこ焼き屋の模擬店を出店し、学外の人にくみこみ高校の良さを知ってもらう。
5.2 模擬店の役割分担図
下記に模擬店の役割分担を示す(図1)。
5.3 たこ焼き屋の出店
たこ焼き屋が正常に機能するように各係に指示し、コントロールする。また、「たこ焼き屋の出店」の統括役は、部長の山田君が担当する。
5.4 運営管理係
たこ焼き屋の出店に必要な調整や指示などの運営業務を行う。
5.4.1 天候不順や異常事態が発生した場合の開催連絡
天候不順や異常事態発生時は、朝6時までに部員に連絡をする。連絡がない場合は、通常通り開催とする。
5.4.2 文化祭委員との調整
文化祭委員と定期的なミーティングを行って出店場所を確保し、詳細を部員たちに伝達する。
調整が必要になった場合は、下記に従って調整する。
- (1)緊急度が高い場合(今すぐ連絡が必要)は、実行委員長、副委員長に電話で確認する
- (2)緊急度が低い場合(後で連絡すればよい)は、そのまま作業を進める。ただし、委員会の人と話せる場合は、変更点を伝えて調整をする
- (3)重要な事項の場合は、書面に残して再度共有する
5.4.3 スケジュールの作成
出店期間に応じて、各部員のシフトや休憩時間などをまとめたスケジュールを作成する。作成したスケジュールはプリントして、部員に提示する。
欠員が出た場合、下記に従って、代わりの人がアサインできるか検討する。
- (1)最低2人確保できない場合は、下記を検討する
- 別の時間帯の部員と配置転換できるか確認する
- 確保できない場合は、別の部から部員を借りられるか交渉する
- (2)上記で確保できない場合は、出店を諦める
スケジュールの変更が出た場合は、下記のフローに従って、部員に伝達する。
- (1)緊急度が高い場合は、部長に電話で確認する
- (2)緊急度が低い場合は、次に会ったタイミングで部長に伝達する
- (3)重要な事項の場合は、メールにして再度共有する
5.4.4 緊急事態の場合の連絡
緊急時には、部員に連絡を行う
- (1)緊急事態の場合は、電話でスケジュールを訂正する
- (2)緊急事態でない場合は、訂正メールを送付する
5.5 設営係
たこ焼き屋出店に必要な機材を準備する。機材が確保できない場合、出店を中止する。
5.5.1 場所確保
他の部と調整し、校舎内で確保した出店場所のレイアウトを作成する。場所が確保できない場合は、下記を検討する。
- (1)そもそもの場所がない場合は、すぐに別の場所を確保できるか確認する
- (2)場所が確保できても、スペースが足りない場合は、スペースを拡大できないか確認する
- (3)上記2つが達成できない場合は、別の部と併設できないか確認する
- (4)上記が達成できない場合は、出店を停止する
5.5.2 機材確保
たこ焼きを作成するための機材を確保する。
以下は必須で、なければ出店を中止する。
- (1)必須項目を確保する
- たこ焼き器(カセットコンロ)
- 調理器具(ボウル)
- 箸、提供用のトレイ
- 冷蔵庫
- 電源
- (2)業者と再度予約を調整し、機材を手配する
- (3)必須項目を確保できず、予算が余っている場合は、下記を確保できるか検討する
- スーパー、ホームセンター、部員の持ち物、別の模擬店から調達する
- たこ焼きが提供できる食材がない場合は、お好み焼き屋、ベビーカステラ屋に変更できるか検討する
- (4)上記から出店が困難と判断した場合は、出店を取りやめる
- (1)下記を調達する
- 袋
- 雑巾、クッキングペーパー
- 竹串
- ごみ箱
- 延長コード
- 食毒液
- ヘラ
- 計量カップ
- まな板
- 包丁
- お玉
5.5.3 安全管理
消火器、消火用の水を確保する。火傷用の軟膏を用意する。
5.6 設営
確保した場所に従って、機材を設営する。
設営時に問題が発生した場合は、下記に従って対処する。
- (1)物的事故の場合は、下記を検討する
- 校内の備品の場合は、担当の先生に確認し、謝罪する
- (2)レンタル品の場合は、金銭で対応する
- (3)人的事故の場合で、下記の対応をする
- 大けが、中程度のけがの場合は、保健室に行き、先生の判断を仰ぐこと。大けがで保健室が開いてない場合は、救急車を呼ぶ
- 軽微なけがの場合は、手当てをする
- (4)事故発生時は、残った人は、再発防止策を検討する
- (5)安全性が確保できないと部長が判断した場合は、出店を停止する
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