最新版「Creo 11」の強化ポイントは? 今後Creoは“SaaSファースト”で進化:CADニュース(1/2 ページ)
PTCジャパンは、2024年5月にリリースした3D CADソリューション「Creo」の最新バージョン「Creo 11」とSaaS版「Creo+」に関する記者説明会を開催し、機能強化ポイントについて詳しく紹介した。
PTCジャパンは2024年11月6日、同年5月にリリースした3D CADソリューション「Creo」の最新バージョン「Creo 11」と、SaaS(Software as a Service)版3D CADソリューション「Creo+」に関する記者説明会を開催した。
「Creo 11」の6つの機能強化ポイント
説明会の冒頭、PTCジャパン ビジネスディベロップメントディレクターの芸林盾氏は「Creoは非常に多領域における機能強化に注力し、投資を行っている。その中でCreo 11では特に『生産性と使いやすさ』『電動化のための設計』『複合材のための設計』『モデルベース定義』『シミュレーション主導の設計』『製造性を考慮した設計』の6つのポイントで機能強化を図っている」とCreo 11の強化ポイントについて述べ、代表的な機能について紹介した。
まず“生産性と使いやすさ”では、サーフェスの選択においてボックス、ラッソー、トレースを新たにサポートした。さらに、オフセットに関して「ローリングボール」というオプションを追加。曲率が高い領域がある場合や、オフセットによって複雑なトポロジー変化が生じて自己交差するようなケースにおいて、非常に有効なオプションになるという。
また、溶接に関してもスポット溶接に関する機能を強化。より多くの情報を持たせて整理できるようになった他、ジョイントのための中間フォーマットであるXMCF形式でのエクスポートにも対応する。これにより、溶接加工におけるティーチングなどに活用できるようになるという。「このように、Creo 11では基本機能といえるような部分で、さまざまな機能強化を果たしている」(芸林氏)。
“電動化のための設計”については「Creo 10」から強化しており、Creo 11ではさらに、ケーブリング(配線)関連の機能強化や、ECADコンテキストデータの可視化向上などを実現しているという。
また、軽量化をはじめとする近年のサステナビリティに関する取り組みへのニーズの高まりを受け、Creo 11では“複合材のための設計”も強化している。例えば、ゾーンベースの設計の他、製造においては主要なLAPやViRTEXといったレーザー投影ファイルの作成に対応した。「航空宇宙や軍事/防衛などの領域で複合材に対する引き合いが多くなっている中、Creo 11では複合材のための設計に関する機能強化を着実に行っている」(芸林氏)。
Creo 11では、長年Creoで注力してきた“モデルベース定義”に関しても機能強化を果たしている。テーブル作成機能の他、3Dアノテーションに特化した中間フォーマット「STEP AP242」に関しても大きな改善を行っており、対応の幅を広げていく方針だという。さらに、「GD&T Advisor」の機能強化として、「ISO GPS 22081」の一般交差のサポートなどにも取り組んでいる。
“シミュレーション主導の設計”では、Ansysとのパートナーシップによって実現するリアルタイムシミュレーションの「Creo Simulation Live」において、新たに共役熱伝達をサポート。これにより、「流体と伝熱を同時に解けるようになる。Creoでは設計者が自ら行える解析機能を積極的に拡充している」(芸林氏)という。また、ジェネレーティブデザインでは、新たに最小フィーチャーサイズを設定できるようになり、最小厚みを考慮した最適形状の探索が可能となった。
“製造性を考慮した設計”に関しては、付加製造(3Dプリンタ/アディティブマニュファクチャリング)に関する機能強化を行っている。Creo 11では2つ以上の別々の格子形状を接続する新たなコマンドが追加されている。さらに、従来工法である切削加工においては、4軸回転荒削りツールパスと4軸回転仕上げツールパスに新たに対応している。
ちなみに、AI(人工知能)を活用した新機能として、これまで提供してきたジェネレーティブデザインの他に、パートナーであるMicrosoftとの取り組みとして「Microsoft Copilot」とCreoが連携するような新機能の開発も進めているとのことで、芸林氏は「そう遠くない新しいバージョンのCreoに組み込まれるのではないか」と語っている。
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