データでオフィスの進化目指すイトーキ 攻めつつ守るDXの進め方:製造マネジメント インタビュー(1/3 ページ)
オフィス家具/設備の大手メーカーであるイトーキ。近年、同社がその枠を脱し、デジタルデータを活用した新たな成長戦略の確立に向けて取り組みを加速させていることをご存じだろうか。DXを急速に進めるイトーキの狙いや現在地について聞いた。
オフィス家具/設備の大手メーカーとして知られるイトーキ。実は近年、同社がその枠を脱し、デジタルデータを活用した新たな成長戦略の確立に向けて取り組みを加速させていることをご存じだろうか。
中核に据えるのが、「Office3.0」と名付けられたソリューション事業だ。オフィスで働く人や家具、器具などから収集したIoT(モノのインターネット)データをデジタルプラットフォーム上に集約し、最適なオフィスレイアウトを提案する。これまで可視化が進んでこなかったオフィス内の人やモノの情報に加えて、位置や動きといったデータの一元管理を可能にする。オフィス管理者は、オフィスワーカーがより働きやすく業務効率性を高めるためのオフィスをデータドリブンで運用していく環境を得られる。
同社は2024年度から2026年度にかけての中期経営計画で、Office3.0の単年度売上高を30億円にすることを目指す。「攻めのDX」を加速するイトーキだが、同時に業務プロセスの改革やERP刷新を含む「守りのDX」も着実に進めている。DXを急速に進めるイトーキの狙いは何か。また、どのようにDXを進めているのか。イトーキ 執行役員 ソリューション開発統括部 統括部長の八木佳子氏と、同社 執行役員 DX統括部 統括部長の竹内尚志氏に話を聞いた。
コロナ禍を機にデータドリブンなオフィス管理の支援を加速
MONOist 貴社がOffice3.0に取り組み始めたきっかけは何でしょうか。
八木佳子氏(以下、八木氏) 直接的な契機になったのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大だ。
もともと当社は、在宅勤務や業務のデジタル化によって、立派なオフィスを構えて何十年も使い続ける従来のオフィス活用の在り方は変化していくだろう、と予想していた。そこで出てくるであろう新しいニーズに、製品やサービスをアップデートして合わせていかなければマーケットに乗り遅れてしまう。そうした危機感があった。
そうした世界が一気に現実のものになったのがコロナ禍だ。フリーアドレス制やABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)などがオフィス環境に導入された。そこから、私たちも新しいビジネスに本気で取り組み始め、2021年に2つのサービスをリリースした。ビーコンでオフィスワーカーの位置を見える化して座席予約やアクティビティ分析などの機能を提供する「Workers Trail」と、個人と組織のパフォーマンスを測定するクラウド型サーベイ「Performance Trail」だ。前々から準備していたが、コロナ化を機に一気に展開することにした。
2024年10月には次世代会議室予約システム「Reserve Any」を開発中だと発表した(2025年提供開始予定)。働き方の多様化もあって会議室が不足しがちな現状を踏まえて、その解決策を提供することで、オフィスワーク、オフィスマネジメントをより良くするのが狙いだ。
こうしたサービスを利用する中で収集されたデータが、オフィスデータ分析サービスの「Data Trekking」に自然と蓄積される仕組みだ。大事なのは、オフィスワーカーや総務部門にとっていかに便利なサービスを提供できるかということだ。Workers TrailやPerformance Trailは便利だから使われる。すると、たまるデータもリッチになり、本当にオフィスが機能しているかがより分かりやすくなる、という循環が生まれる。
オフィスの在り方が変わる中で顧客ニーズを捉えるには、データが非常に重要だ。オフィスをインターネットにつなぐことで、顧客はオフィスのDXを推進し、私たちは顧客ニーズを把握しやすくなる。オフィスワーカーやオフィスマネジメント担当者に役立つサービスの展開を通じて、オフィス全体のIoT化を進め、データドリブンでオフィス経営ができる世界を作りたい。
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