日本はいつから“割安な国”に? GDPを購買力平価で眺めてみる:小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ(27)(2/4 ページ)
ビジネスを進める上で、日本経済の立ち位置を知ることはとても大切です。本連載では「スキマ時間に読める経済データ」をテーマに、役立つ情報を皆さんと共有していきます。今回はGDPを「購買力平価」という観点から解説します。
ドル換算値の1人当たりGDP
人口は国によって異なりますから、GDPだけでは国民の「豊かさ」は見えにくいですね。GDPを人口で割った1人当たりGDPは、最も利用される平均的な国民の経済的豊かさを測る指標です。
この1人当たりGDPについても、為替レート換算値と購買力平価換算値の違いを見ていきたいと思います。まずは、為替レート換算値からです。
図3が各国の1人当たりGDPについて、為替レートでドル換算した推移です。
日本(青)は、1995年にピークを迎え、その後アップダウンしながら横ばいで推移しています。2022年に大きく減少し、2023年もそこから横ばいです。1995年には米国の約1.5倍、OECD平均の約2倍の高水準に達していたことになります。
2023年はイタリアを下回り、韓国とほぼ相当する水準となっていて、他の主要先進国の水準を大幅に下回ります。日本の経済水準が、国際的に大きく低下したと分かります。
米国以外の他の主要先進国も、ドル換算値だとリーマンショック以降は横ばい傾向であることが分かりますね。GDPでは存在感の大きかった中国、インドも1人当たりGDPだとかなり低い水準となります。
図4が1人当たりGDPの購買力平価換算値です。為替レート換算値と比べると、各国のグラフがスムーズで右肩上がりです。
2023年の水準で見ると、米国が主要先進国で1位ということは変わりませんが、ドイツやカナダをはじめ、他の主要先進国との差がかなり縮まっています。数量的な1人当たりの豊かさで見ると、日本も含めて為替レート換算値よりもずっと高い水準にあります。
中国とインドも為替レート換算値よりも高い数値となっていて、中国が2倍近く、インドが3倍以上になっています。さらに韓国の数値に注目すると、為替レート換算値では日本より低かったのですが、購買力平価換算値だと2018年にはすでに日本を抜いていたということになります。
日本に注目すると、為替レート換算値では1995年に米国の1.5倍もの水準に達していましたが、購買力平価換算値だと米国に及ばず、他の主要先進国と同じくらいの水準だったことになります。
つまり、他国から見ると当時日本は金額的にはかなり高い水準に達していましたが、数量的には他国並みの経済水準であったわけです。
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