Salesforce基盤で動くクラウドERP 中堅企業の労働力不足解決促す:製造ITニュース
テラスカイとシナプスイノベーション、チームスピリットは、中堅規模の製造業向けのクラウドERP普及を目指す「ERP Cloud 360コンソーシアム」を共同で設立すると発表した。
テラスカイとシナプスイノベーション、チームスピリットは2024年9月26日、中堅規模の企業向けのクラウドERP普及を目指す「ERP Cloud 360コンソーシアム」を共同で設立すると発表した。営業から製造/販売、経理、人事など各業務プロセスの支援機能をワンストップで提供し、さらにAI(人工知能)を活用できる環境を提供する。
AIを活用しやすい環境に
ERP Cloud 360コンソーシアムは中堅企業が抱える労働力不足などの問題を解決すべく、クラウドERPの認知拡大や普及、販売を行う団体だ。ここでの中堅企業とは、従業員数がおおよそ100〜1000人程度の規模を指す。理事会員はテラスカイ、シナプスイノベーション、チームスピリットの3社で、特別賛助会員としてセールスフォース・ジャパンが参加している。この他、同団体が提供する統合型クラウドERPの顧客への紹介や仕入れ販売、導入、開発、サポートを担当するパートナー企業が20社いる。
ERP Cloud 360コンソーシアムは統合型のクラウドERPとして「ERP Cloud 360」を提供する。テラスカイとシナプスイノベーション、チームスプリットのサービスをSalesforce Platform上で連携させることで、ユーザーが営業から製造/販売、経理、人事といった各業務プロセスで役立つシステムをワンストップで利用できるようにした。
具体的には製造販売分野ではシナプスイノベーションの「UM SaaS Cloud」、経理分野ではテラスカイの「mitoco」、人事分野ではチームスピリットの「チームスピリット」をそれぞれ利用できる。必要な機能に絞って利用することも可能だ。
各サービスをSalesforce上で連携させることで、導入企業内でのマスターやデータなどの共通化を図れる利点がある。利用サービス、システムの増加に伴うマスターの社内乱立を防ぎ、迅速な経営判断を支援するとしている。また、ERP Cloud 360はAPIを介して他のアプリケーションやシステムとデータ連携ができる。Salesforceが提供する「Data Cloud」を使うことで、既存システムの業務データやExcelなどのさまざまなデータも活用できる。
他の特徴として、Salesforce Platform上で稼働するAIエージェントである「Agentforce」がこれらのデータを横断して参照できる点が挙げられる。AIがデータ検索などの業務効率化を支援する。ERP Cloud 360コンソーシアムのリリース以降、3社の各サービスに順次対応していく。
テラスカイ 取締役 専務執行役員 製品事業ユニット長の山田誠氏はAgentforceを念頭に、「自律型AIは今後どんどん性能を拡張させて行くが、テクノロジー的にここまで最新の技術を追求したERPシステムは、現在の中堅企業向けマーケットにはない」と説明した。AIが活用しやすいシステム、データ環境を提供することで、中堅企業の労働力不足の解決につながる可能性がある。
Salesforce Platformの基盤を活用することで、高いセキュリティ性を持つゼロトラストなクラウド環境を実現している。ノーコード開発ツールも実装されているため、プログラミングの知識がなくともインタフェースや承認フロー、権限管理などを各サービスで設定できる。PCやスマートフォンなど端末の種別を問わず、マルチデバイスで利用することも可能だ。
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