「設備頼りのビジネス」から転換を! 固定資産のデータ分析で見えること:イチから分かる! 楽しく学ぶ経済の話(12)(1/5 ページ)
勉強した方がトクなのは分かるけど、なんだか難しそうでつい敬遠してしまう「経済」の話。モノづくりに関わる人が知っておきたい経済の仕組みについて、小川さん、古川さんと一緒にやさしく、詳しく学んでいきましょう!
小川さん:学生時代アメフトで鍛えた、体育会系機械エンジニア&金属加工職人。経済統計に興味があり、趣味で統計データを共有する情報発信を続けている。ラーメン好き(現役時代よりも体重が増えていることは家族にないしょ)。
経済構造に詳しい古川さん: 元エリート銀行マンで、現在は起業しスタートアップの事業支援など、製造業を中心としたエコシステムの構築を進めている。大学の非常勤講師や、地域経済活性化のための委員なども務める。実は照れ屋。
(※)編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物、団体などとは一切関係ありません。
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日本の「固定資産」とは?
古川さん、前回はストック面のうち、金融資産/負債残高について解説していただきました。
家計が極端に現金/預金を多く持っていたり、企業で過大な水準の借り入れがあったりと、日本経済の異質な部分がよく分かりましたね。
他国と比較すると相対的な違いが浮き彫りになって、興味深いです。経済がつながっていることを踏まえると、現在金融資産を多く持つ家計、負債を減らしている企業、負債を増やしている政府の相互関係が見えてくるような気がします。
この勉強会もこれで最後です。今回は、ストック面の固定資産がどのように変遷してきたかを紹介しましょう。
固定資産というと、住宅や機械/設備、その他の建物/構築物でしたね。
はい。固定資産は、総固定資本形成により投資され、固定資本減耗分だけをすり減らしながら、少しずつ積みあがっていきます。固定資産の蓄積により、国民全体の生活の質や生産性が向上します。
なるほど、そうするとフロー面で付加価値を稼ぎやすくなるわけですね。そこでさらに付加価値を増やして、消費や投資を増大させ、その分流通するお金も増えて経済が拡大するという循環になるのですね!
資本主義経済は、まさにそういった仕組みです。これまで見てきた一連の流れが、固定資産の蓄積としてどのように結実するのか、そしてそれらがしっかりと生産性向上に生かされているのか、早速見てみましょう。
上のグラフが日本の固定資産ですね。全体としてはリーマンショック時に若干目減りした時期もありますが、少しずつ増えています。
はい、最近では約2000兆円の固定資産を日本全体で保有していることになります。そのうち住宅が450兆円、その他の建物/構築物が1200兆円、機械/設備が200兆円、知的財産生産物が150兆円ほどですね。
防衛装備品や育成生物資源はとても少ないようですが、どれくらいでしょうか?
防衛装備品が10兆円、育成生産資源が1兆円程度です。
なるほど、ほとんどが住宅、機械/設備、その他の建物/構築物ですね。第5回で総固定資本形成について解説いただきましたが、バブル崩壊後も1990年代後半まで高い水準で投資が続けられていたのでしたね。
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