「日本は現金/預金が多い」は本当か 企業と家計の金融資産を調べよう:イチから分かる! 楽しく学ぶ経済の話(11)(1/5 ページ)
勉強した方がトクなのは分かるけど、なんだか難しそうでつい敬遠してしまう「経済」の話。モノづくりに関わる人が知っておきたい経済の仕組みについて、小川さん、古川さんと一緒にやさしく、詳しく学んでいきましょう!
小川さん:学生時代アメフトで鍛えた、体育会系機械エンジニア&金属加工職人。経済統計に興味があり、趣味で統計データを共有する情報発信を続けている。ラーメン好き(現役時代よりも体重が増えていることは家族にないしょ)。
経済構造に詳しい古川さん: 元エリート銀行マンで、現在は起業しスタートアップの事業支援など、製造業を中心としたエコシステムの構築を進めている。大学の非常勤講師や、地域経済活性化のための委員なども務める。実は照れ屋。
(※)編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物、団体などとは一切関係ありません。
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「金融資産/負債残高」とは?
古川さん、前回は正味資産や金融資産/負債差額といったストック面について解説していただきました。
日本はバブルの影響もあり、最も重要な生産資産が停滞気味だという内容でしたね。
はい。日本は企業の純金融負債が一時期高い水準に達したものの、その後は目減りしているという特殊な状況にあることも分かりました。どうやら企業の挙動がキーポイントになりそうですね。
おっしゃる通りです。今回はまず、私たちの家計と企業の金融面からもう少し詳細を見ていきましょうか。
はい、よろしくお願いします。
金融面では以前、フローの金融勘定について解説していただきました。
そうですね。今回はそのストックバージョンの金融資産/負債残高について見ていきましょう。
ここでは、金融資産をプラス側、負債をマイナス側で表現しています。差引の金融資産/負債差額が黒い折れ線グラフです。金融勘定で紹介した金融資産の種類ごとに集計されています。
家計は資産側の現金/預金が多いようですね。保険/年金/定型保証も結構なボリュームがありそうです。現金/預金が1000兆円程度、保険/年金/定型保証が500兆円程度です。
はい、日本の家計は現金/預金を多く持っていることが特徴です。後ほど各国との比較もしてみましょう。
お願いします!
企業は負債側の借入(赤)が1990年代後半から目減りしていますね。確か金融勘定ではこの時期、借入を減らすという挙動が見られていました。
そうですね、ストックで見るとそれが明確になります。政府は、負債のほとんどが債務証券(国債)です。日本の政府は意外と金融資産を多く持っているという特徴があります。せっかくですから、今回は家計と企業について他国のグラフも見てみましょう。
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