クラウドHPCを通じてCAEソリューションを提供するプラットフォームサービス開始:CAEニュース
旭化成エンジニアリングは、クラウドを通じてアプリケーションを提供する「CAEソリューションプラットフォーム」のサービスを開始した。ビジネスフローを簡略化し、問い合わせ開始から支払いまでの工数を削減できる。
旭化成エンジニアリングは2024年9月4日、クラウドを通じてアプリケーションを提供する「CAEソリューションプラットフォーム」のサービス開始を発表した。煩雑な契約手続きなどを要したビジネスフローを簡略化し、問い合わせ開始から支払いまでの工数を削減する。
同プラットフォームは、クラウドHPC(High Performance Computing)に構築した仮想サーバ上に同社が開発したアプリケーション群を搭載し、ユーザーに提供する。ユーザーは、各種アプリケーションをダウンロードまたはサーバ上で利用できる。
同サービスには、同社独自のCAE技術による高分子材料の破断予測モデル「i-LUPE」と、繊維強化樹脂などの異方性材料に特化してi-LUPEを使用する際に補助するアプリケーション「Mapping tool for i-LUPE」を搭載している。
i-LUPEは、高分子特有の微視的損傷形態であるクレーズを考慮した数式がモデル化されており、高分子が破壊する様子を正確に予測できる。また、個別契約にて、ユーザーが指定したFEMプログラムに組み込むユーザーサブルーティンとして提供する。
高分子材料に衝撃が加わり大きく変形すると分子鎖が引き延ばされ、空隙である「ボイド」と分子鎖の束である「フィブリル」とが混在した様相を呈し、これを「クレーズ」と呼ぶ[クリックで拡大] 出所:旭化成エンジニアリング
Mapping tool for i-LUPEは、樹脂流動解析などから得られる繊維配向データをi-LUPEに入力する材料パラメーターに変換し、出力する。i-LUPEはダウンロード形式でライセンス方式は期間固定。Mapping tool for i-LUPEはオンデマンド形式でライセンス方式もオンデマンドとなる。
今後は、これら2つのアプリケーションに加え、さまざまなソリューションをクラウドHPCを通じて提供していく予定。2030年ごろには、プラットフォーム全体で2.5億円規模の売上を目指す。
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