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全てはモーターの量産から始まった、三菱電機名古屋製作所設立100周年工場ニュース(1/2 ページ)

三菱電機のFA機器の主力生産拠点である名古屋製作所が設立100周年を迎えた。これまでの歩みと今後に向けた取り組みを中心に紹介する。

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 三菱電機のFA機器の主力生産拠点である名古屋製作所(名古屋市東区)が2024年9月1日に設立100周年を迎え、同年9月9日に報道陣向けの視察会が開催された。本稿では、名古屋製作所のこれまでの歩みと今後に向けた取り組みを中心に紹介する。

製造設備の電動化を見越して三相モーターを生産


設立当時の名古屋製作所(第一工場)の様子。M字型の屋根を持つ[クリックで拡大]出所:三菱電機

 まず、三菱電機は三菱造船の電機製作所を母体に1921年に設立された。その3年後、名古屋製作所は三相モーターの量産工場として設立され、1924年9月1日に総員214人で操業を開始した。土地は三菱造船が1918年に取得したものだ。当時は辺りに沼地が広がっており、それを埋め立てて工場は建てられたという。

 三菱電機 FAシステム事業本部 副事業本部長 兼 名古屋製作所長の田中貴久氏は「国内で電力化が推進され、製造設備についても電力化、電動化が図られるという流れを見越して、この三菱電機の第一工場で汎用電動機の生産が開始された。三菱電機のFAビジネスの第一歩となった」と話す。

 当時の第一工場の建屋は改修を続けながら、現在はE7工場として残存しており、放電加工機の量産が行われている。


現在の名古屋製作所。今もM字型の屋根が残っているのが分かる[クリックで拡大]出所:三菱電機

 なぜ名古屋が選ばれたのかという記録は残っていないという。ただ、当時の愛知県では繊維産業が盛んで紡績工場が多かった。同時に、国内では電気の普及により、電気事業連合会によれば1917年には工場動力の電化率が50%を突破するなど、工場の機械化が進んでいた。また、1907年には名古屋港が開港している。

※…電気の歴史(電気事業連合会)

 名古屋製作所ではその後、1933年に電磁開閉器、1952年に変圧器、1964年に放電加工機、1978年に後の主力製品となるシーケンサー(PLC)、CNC(数値制御装置)、1981年にインバータと産業用ロボット、1983年にACサーボ、1992年にモーションコントローラーと表示機の生産を始めている。

名古屋製作所で製造された三相モーター(左)や電気反射ストーブ(右)[クリックで拡大]
名古屋製作所で製造されたインバーター(左)やモーションコントローラー(右)[クリックで拡大]

名古屋製作所で製造されたサーボモーター[クリックで拡大]

 その間には、扇風機や冷蔵庫、エレベーターなどの家電製品や応用、関連製品を開発。扇風機は中津川製作所(岐阜県中津川市)、冷蔵庫は静岡製作所(静岡市駿河区)、エレベーターやエスカレーターは稲沢製作所(稲沢ビルシステム製作所、愛知県稲沢市)など、それぞれ別の製作所へと移管され、“母なる製作所”として三菱電機全体の発展にも貢献している。

 現在は2021年に同敷地内に設立された産業メカトロニクス製作所とともに、従業員数は約3500人、敷地面積は30万6000m2に拡大。レーザー加工機や放電加工機、産業用/協働ロボット、シーケンサー、表示機、ACサーボや三相モータ、CNC(数値制御装置)など製造現場の自動化、省人化を担う幅広いFA関連機器、各種ソフトウェアを製造している。

「FAのビジネスは、主に6つのセグメントに分けて製品部を捉えており、その中で名古屋製作所は主にコントローラー製品、駆動製品、ソフトウェア製品を扱っている」(田中氏)

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