FreeRTOSがライバル!? イタリア発のRTOS「BeRTOS」は古のBeOSとは関係ない:リアルタイムOS列伝(50)(2/3 ページ)
IoT(モノのインターネット)市場が拡大する中で、エッジ側の機器制御で重要な役割を果たすことが期待されているリアルタイムOS(RTOS)について解説する本連載。第50回は、イタリア発のRTOS「BeRTOS」を紹介する。
GPLで提供、ビジネスモデルは有償サポートとSDK販売
なかなかユニークな特徴をもつRTOSではあるのだが、そのビジネスモデルもやっぱりユニークである。前ページの図1でも触れているが、BeRTOSは修正版のGPL v2ライセンスの下で提供されている。まぁこれで商用利用にはいろいろ厳しいが、不可能というわけではない。そしてGPLである以上基本的には無償であり、なので商用利用する場合であってもライセンスやロイヤルティーは発生しない。
ではどうやってサポートなどのコストを確保するか? というと、FreeRTOSの場合で言えばサポートを有償化していた訳で、これはDevelerも同じであった(Premium Support Serviceが提供されていた)のだが、もう1つの違いがBuild Toolである。DevelerはBeRTOS SDKと呼ばれるものを提供しており、こちらはWindows/Linux/macOSの各プラットフォーム上でGUIを利用し、ここでBeRTOSのビルドから実行/デバッグまでを行うことができるようになっている(図2)。
図2 一応ここではマルチプラットフォームをうたってはいるものの、ドキュメントがWindowsのものしか見当たらないので、ちょっとLinux/macOS上での環境は定かではない。あるいはSDKを契約するとドキュメントが付いてくるのだろうか[クリックで拡大] 出所:Develer
BeRTOSのソース単体と、BeRTOS SDKで提供されるものの違いが図3に示されている。この中で、例えば、ツールチェーンに関しては自分で用意すればいい(Arm7/AVRとも入手は容易である)から無くても困らないわけではないが、2009年9月に追加されたIDEからのデバッグターゲット上でのリモート動作や修正などの機能は、やはりSDKを利用した方が便利である。このSDKが有償になっており、ここで開発/サポートコストを捻出しようともくろんだようだ。
もっともこのSDKだが、サポートの“We are outlaws”のWebサイト(現在は存在しないためWebアーカイブを参照)を見ると、30日間の無条件返品要求に対応などと書いてあって、どこまで真面目にビジネスをするつもりがあったのかよく分からない(そもそもSDKの価格が分からないので何とも言えないが)。
Develerは、少なくとも2012年頃までは間違いなく積極的にBeRTOSの開発と販売を行っていたことは間違いない。2012年7月にはBeRTOS 2.7.99がリリースされており、この2.7.99ではTCP/IPのネットワークスタックの搭載、AtmelのSAM3XとAVR XMegaのサポート、それと試験的ながらIARのCortex-M3用コンパイラのサポートなどが行われている。
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