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データ主権を守りながら共有していく、IDSAとは?加速するデータ共有圏と日本へのインパクト(3)(2/6 ページ)

本連載では、「加速するデータ共有圏:Catena-XやManufacturing-Xなどの最新動向と日本への産業へのインパクト」をテーマとして、データ共有圏の動向やインパクト、IDSA、GAIA-X、Catena-X、Manufacturing-Xなどの鍵となる取り組みを解説していく。今回は第3回としてIDSAを紹介する。

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IDSAが掲げるデータ主権とは?

 IDSAは「データ主権(Data Sovereignty)」について「バリューチェーン全体において、他者がそれをどのように、いつ、いくらで利用できるかを自己決定すること(self-determine how, when and at what price others may use it across the value chain)」と定義している。データスペースにおいてデータ主権の考えはその基盤をなす重要なコンセプトだ。

データ連携における各プレイヤーの役割とコネクター

 データ連携は従来のオペレーションや価値から変化するものであり、データ連携に関連して新たなプレイヤーが生まれる。IDSAはデータ連携における各プレイヤーの役割を下記の通り定義している。


図4:データ連携における各プレイヤーの役割[クリックで拡大] 出所:筆者作成
データ連携における各プレイヤーの役割
(1)データ所有者と
データプロバイダー
データプロバイダーは、IDSコネクターを介して所有者のデータをデータスペースに転送する。これにより、誰が、いつ、どのように、なぜ、どのような価格でデータを使用するかを制御しながら、データを使用できるようになる
(2)IDSコネクター IDSコネクターは、参加者がデータ空間内のデータに使用ポリシーを添付し、使用ポリシーを強制し、データの出所をシームレスに追跡できるようにする専用のソフトウェアコンポーネント。コネクターは、データとサービスのゲートウェイとして、またアプリとソフトウェアの信頼できる環境として機能する(下図も参照)
(3)データユーザーと
データコンシューマー
データコンシューマーは、ユーザーに代わってデータを処理する。データは、データプロバイダーの使用ポリシーに従って、データの品質と信頼性に自信を持って提供される
(4)アプリケーション IDSコネクターの信頼できる環境内のAppストアから実行される。アプリは、データのトランザクション、集計、分析などのタスクを実行する
(5)Appストア Appストアは、変換、集計、データ分析などのタスクを実行するためにIDSコネクターにデプロイできるアプリケーションを提供する
(6)ブローカー コンテンツ、構造の品質、通貨、その他の機能の観点からデータソースに関する情報を提供する
(7)クリーニングハウス クリーニングハウスは、IDS内の全てのデータ交換および金融取引の清算および決済サービス
(8)IDプロバイダー IDSの参加者のID情報およびIDSの参加者のためのID情報を作成、維持、管理、検証
(9)ボキャブラリー 受け入れられたベストプラクティスに基づいて標準化されたデータの記述子を提供する
(10)データスペース 主権のあるデータ交換が行われる場所。IDS標準により、相互に合意されたルールに基づいて、認定されたデータプロバイダーと受信者の間で信頼できるデータ交換が可能となる。データ空間は協力を向上させ、参入障壁を下げ、イノベーションを強化する

図5:IDSA(International Data Space Association)のIDSコネクター[クリックで拡大] 出所:IDSA

IDSAの主なユースケース:Data Space Radar

 IDSAはデータスペースのユースケースを「Data Space Radar」として公開している。IDSAが認証しているデータスペースは、データ主権が担保されたデータ交換、認証、ガバナンスのためのIDSA標準によって管理されたプロジェクトだ。領域(サプライチェーン、スマートシティー、製造、エネルギー、モビリティ、自動車、クロスドメイン)や、成熟度に応じて分類されている。

 データ連携はあくまでビジネスやオペレーション上の手段であり、技術や方法で議論しては検討が進まない。どのような目的で、どのようにデータ連携を活用しているかが重要となる。Dara Space Radarでのユースケースを詳しく見ていきたい。


図6:IDSAが公開しているData Space Radar[クリックで拡大] 出所:IDSA

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