唯一無二の「つよつよ神棚」 木工芸を学ぶ学生が目指す自分だけのモノづくり:ワクワクを原動力に! ものづくりなヒト探訪記(16)(1/4 ページ)
本連載では、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。今回は趣向を変えて、京都伝統工芸大学校で伝統工芸の技術や知識を学ぶ吉乃さくらさんに、モノづくりにかける思いについて聞きました。
MONOist編集部より
本連載はパブリカが運営するWebメディア「ものづくり新聞」に掲載された記事を、一部編集した上で転載するものです。
ものづくり新聞は全国の中小製造業で働く人に注目し、その魅力を発信する記事を制作しています。本連載では、中小製造業の“いま”を紹介していきます。
今回編集部が向かったのは、京都府南丹市の京都伝統工芸大学校です。ここでは、伝統工芸に関する高い技術/技能を持つ「伝統工芸士」などの講師陣から、技や知識を直接学ぶことができます。
お話を伺ったのは、木工芸専攻4年(取材当時)の吉乃さくら(よしの さくら)さんです。2024年2月に京都伝統工芸館で開催された「第28回 京都伝統工芸大学校 卒業/修了制作展」を訪れた際に、筆者の印象に強く残った作品「つよつよ神棚」の作者であり、マルシェやオンラインショップでアクセサリーなどを販売する「かわいいクリエイター」としても活動されています。そんな吉乃さんがどのようにモノづくりや伝統工芸の世界に飛び込んだのか、話を聞きました。
伝統工芸の世界に飛び込んだきっかけは
――吉乃さんはどのようなきっかけで木工芸を学びたいと思うようになったのですか?
吉乃さん もともとは、「将来は保育士になりたい」と思っていました。ですが、中学時代に技術の授業が好きすぎて技術室に通い詰めていたところ、ある日、先生から「そんなに好きなら伝統工芸士になったら?」と言われたんです。これが転機になりました。
モノづくりの中でも特に伝統工芸や木工芸に興味を持ったきっかけは、東日本大震災の報道です。2011年以降、何度も被災地の様子をテレビで目にしました。その中で「何もかも流されてしまった。多くを失ったけれど、このタンスだけでも残っていて本当によかった。修理すればまだまだ使えそうだ」と話す人の姿が放送されていました。
それを見て、時間がたっても、生活の形が変わっても、同じ形で使い続けられるって素晴らしいことだなと思ったんです。これがきっかけで、1つのモノを長く大切に使い続ける価値に気付きました。そして、木工芸の世界に飛び込んでみようと思いました。
とはいえ、それまでは伝統工芸のことをあまりよく知らなかったので、インターネットで検索してみたんです。その時に検索結果に出てきたのが京都伝統工芸大学校でした。
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