今度は「1000万ドル相当」を支援 生成AIの実用化推進プログラム募集開始:人工知能ニュース
AWSジャパンは生成AIモデルの開発、改良やビジネス課題の開発を図る企業や団体を対象とした「AWSジャパン生成AI実用化推進プログラム」を開始すると発表した。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は2024年7月22日、生成AI(人工知能)モデルの開発、改良やビジネス課題の開発を図る企業や団体を対象とした「AWSジャパン生成AI実用化推進プログラム」を開始すると発表した。
戦略策定から本番環境での運用まで伴走支援
今回の支援プログラムは大きく分けて、既存の基盤モデルの改良や新規での開発を目指すケースと、基盤モデルを用いてビジネス課題の解決やプロダクト実装を目指すケースの2パターンを対象としている。総額で1000万米ドル(約15億3700万円)相当のAWS クレジットを提供することで、AWSが提供する各種ツール、アプリケーション、インフラサービスなどの利用料負担を軽減する。さらに戦略策定から実行支援までを、AWSジャパンの担当者が伴走支援する。
AWSジャパンとプログラム参加者の間でディスカッションを行いながら、取り組みを深化させ、具体的な成果の創出を目指す。2024年10月31日までプログラム参加者を募集し、その後、2025年の3月末までプログラムを実施する予定。
生成AIモデルの改良や新規開発を目指す企業、団体に対しては戦略策定の支援から、データ基盤構築やデータセット準備、計算リソースの確保といった開発環境の整備に加えて、生成AIモデルを使った事業化支援やパートナー企業のマッチングなども支援する。
生成AIモデルを用いてビジネス課題の解決やプロダクト実装を目指す企業、団体には、生成AIモデルの選定や、継続的かつセキュアに運用できるシステムの設計、検索拡張生成(RAG)やファインチューニングなどカスタマイズ手法に関する支援を行う。これらに加えて、AWSのパートナー企業とつながることで、コンサルティングサービスや本番環境での運用支援なども受けられる可能性がある。
AWSジャパンには顧客企業を担当するアカウントマネジャーやソリューションアーキテクトの他、生成AI関連の戦略立案からプロジェクト立ち上げなどを支援する「Generative AI Innovation Center」や、ビジネスコンサルティングを影響する「AWS Professional Service」など、顧客の技術的取り組みや事業活動を支援するグローバルの専門家チームが存在する。これに加えて、「AWS Cloud Adaption Framework for AI, ML, Generative AI」と呼ばれる、AIによるビジネス成果創出に役立つベストプラクティス集などを活用することで、企業や団体のフェーズに合わせた生成AIの技術、事業の支援プログラムを提供していくとする。
プログラムの実施期間中には、「AWS Generative AI Frontier Meetup」と呼ばれるコミュニティー型イベントを開催する。課題に直面した企業同士、あるいは先行する企業との間で情報共有を行うことで、生成AIモデルに関するより効率的な取り組みを推進する。
AWS ジャパンは2023年7月にも「AWS LLM 開発支援プログラム」を開始し、リコーやストックマーク、TuringやPreferred Networks、松尾研究所、NTTなど合計17の企業や団体を支援した。具体的には、約600万米ドル(約9億2300万円)規模のAWS クレジットの提供に加えて、技術支援などを行っている。AWSのグローバル各拠点の中でも、AWS ジャパン独自の施策として展開したものだ。同様に、今回のAWSジャパン生成AI実用化推進プログラムも日本拠点独自の試みとなっている。
前回と今回の違いについて、AWSジャパン サービス&テクノロジー事業統括本部 技術本部長の小林正人氏は「前回の延長線上にはあるが、生成AIモデルに活用するデータの拡充や、ビジネス課題とさまざまな技術や生成AIモデルのマッチングに関する支援にも取り組んでいく」と説明した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- リコーが130億パラメーターの日英対応LLM開発 AWSジャパンの支援プログラム活用
AWSジャパンは2024年1月31日、国内に拠点を持つ企業や団体を対象に、大規模言語モデル開発を支援する「AWS LLM 開発支援プログラム」の成果発表会を開催した。同プログラム参加者のうち、NTTとリコー、ストックマートが登壇し、成果を紹介した。3者の発表内容を順に紹介する。 - 産業界で使い倒せる日本語LLMを リコーが自前のモデル開発に取り組み始めたワケ
世界中で大規模言語モデル(LLM)の開発成果が次々に発表されている。国内でも日本語対応のLLM開発に取り組む企業が表れているが、その1社がリコーだ。130億パラメーターの日英両言語対応LLMを作った同社に、開発の狙いや今後の戦略を聞いた。 - 富士通がCohereと独自LLM「Takane」開発 大企業向けの生成AI提供力強化へ
富士通はエンタープライズ向けのAIを提供するCohereと戦略的パートナーシップを締結することを発表した。 - モノづくりの知識を身に付けた生成AI、パナソニックHDが技術承継などで活用へ
パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)とストックマークは、パナソニックグループ専用の大規模言語モデルの開発で協業する。パナソニックグループの社内データを追加事前学習させた「Panasonic-LLM-100b」を開発し、設計や製造などのモノづくり業務において、自然言語でのやりとりで業務支援を行えるような仕組み構築に取り組む。 - 「製造業らしい活用」が増加 パナソニック コネクトの生成AI全社導入の経過報告
パナソニック コネクトは社内向けのAIアシスタントサービス「ConnectAI」について、2023年6月〜2024年5月までの活用実績と今後の活用構想について発表した。 - 生成AI活用のカギは、文章を作らせることではなく読ませることかも
「データがないからDXできない」を解決する切り札になるかもしれません。